最近、自分を追い詰めている人が多い。「もっと頑張らないといけない」「もっと成長しなくては」、と。だが、精神科医で立教大学教授の香山リカさんは、頑張り過ぎずにほどほどに生きる「ほどほど論」を提唱する。香山さんに聞く「ほどほど論」の二回目をお届けする。(聞き手=ノンフィクションライター・神田憲行) * * * ――自分で自分を追い詰めちゃう人の特徴ってありますか。 香山:仕事で達成できた六割じゃなくて、出来無かった四割ばかり目がいって自分を責める人。まずは出来た六割を自分でちゃんと評価して欲しい。 あと物事を「0か1か」「全肯定か全否定か」で判断してしまう人も多い。これをボーリングのピンが両端に分かれている状態のようなイメージで、精神医学の用語で「スプリッティング」と呼びます。判断が極端から極端にふれる人ですね。 ――「スプリッティング」という人は以前から多かったのですか。 香山:社会全体がそ