予期せぬ妊娠や経済的な不安を理由に、病院に行かずに出産を迎える「未受診妊婦」がいる。母子の健康を守れないだけでなく、社会で孤立し、赤ちゃんの遺棄や虐待死につながるリスクも高い。こうした事態を防ごうと、東京のNPO法人が健診・出産費用を肩代わりする「無料産院」事業を始めた。 「想定外」の妊娠 病院に行けず 岐阜県の30代女性が妊娠に気付いたのは、今年4月ごろだった。小中学生の子を育てるシングルマザーで、妊娠は「想定外」。相手の男性とは連絡が取れず、子どもたちにも言えなかった。体調が悪くて働けず、経済的にも厳しい。病院に行けないまま日が過ぎていった。 そんな中、認定NPO法人フローレンス(東京)が始めた無料産院事業をテレビで知った。8月、同法人と提携する病院の一つ、同県北方町のいとうレディースケアクリニックを訪れた。検査の結果、妊娠36週で、高血圧のためすぐに産む必要があると分かった。4日後、