大阪府警科学捜査研究所が、髪の毛からごく微量の睡眠薬の成分を検出する新手法を確立した。近年、睡眠薬を飲まされて性犯罪被害に遭う女性は増加傾向にあるが、睡眠薬を尿から検出できるのは短い場合、わずか1日。被害者が警察への申告をためらう間に重要な証拠を失うこともあったが、新手法で検出可能な期間が数カ月に延び、犯人検挙に結びついたケースも出始めている。 拡大鏡をのぞきながら、手術用のメスで髪の毛を1ミリずつに手作業で細かく切る。これをすりつぶして特殊な機器にかけ、睡眠薬の成分を探し出し、薬を飲まされた時期も推定していく。 髪の毛1本に含まれる睡眠薬の成分は、1グラムの10兆分の1より少ないことも。だが、こうした工程によりごく微量の睡眠薬の検出が可能になった。平成24年から研究を重ね、新手法を確立した府警科捜研の佐々木啓子研究員は「本当に地道な作業が多いが、ひとつひとつが大切」と強調する。 毛髪の鑑