「聖域なき構造改革」を叫んだ小泉純一郎・前首相が不思議なことにメスを入れようとしなかった対象がある。参議院だ。むしろ小泉前首相は政権運営で自民党参院議員に目配りを忘れなかった。それはなぜか。惨敗した安倍晋三政権がこれから直面する難局を読み解けば、小泉シンドロームが支配する時代に残された課題が浮き上がる。 年金、消費税、安保に暗雲 秋の臨時国会は空転また空転の大波乱模様――。 まず最大の焦点は、消費税率引き上げ。安倍首相は「参院選後に本格的な増税論議を始める」という姿勢を今のところ保ってはいる。しかし、税率を5%のまま据え置き、歳出見直しで15兆円をひねり出すという方針を掲げて圧倒的な支持を取りつけた民主党が大勝した以上、新たな国民負担増につながる税率アップを真正面から訴えるのはほぼ不可能に近い。 「2008年の通常国会で消費税率引き上げ法案を可決、2009年4月に消費税率を引き上げる可能性