【ロンドン=大内佐紀】陪審制発祥の地・英国で、被告の仲間が陪審員に圧力をかけ、公正な裁判実施が難しいとして、陪審抜きで刑事裁判が行われることになった。英高等法院が6月、検察側の要求を認めたもので、前代未聞の「歴史的判断」(BBCテレビ)となった。 この事件では2004年2月、ヒースロー空港近くの倉庫に覆面の集団が押し入り、現金約175万ポンド(約2億8000万円)を奪取。警備員1人が銃撃され、負傷した。監視カメラの映像から、ジョン・トゥーメイ被告(61)ら4人が逮捕された。いずれも同じギャング組織に所属。容疑を全面否認している。 同事件は陪審評決の不成立により、これまでに3度、1審裁判を行った。 1、2回目は陪審員の見解が割れ、評決に至らず、3回目では陪審員12人中、4人が途中で辞退した。 英制度では陪審員12人のうち、評決には10人以上の同意が必要。健康悪化などを理由に途中辞退できるが、