本節では,女子暴力犯罪の中でも,検挙人員の変動が少なく,女子比の比較的高い殺人事犯について,女子刑務所の実態調査の結果から,その特徴を見ることとする。 II-53表は,殺人事犯女子受刑者の身上特性を示したものである。年齢層別構成比を見ると,30歳代が42.2%で最も多く,以下,40歳代の23.6%,20歳代の21.6%,50歳代の9.5%などの順となっている。知能程度では,知能指数79以下の者が62.8%と,知能指数の低い者が多い。また,教育程度は,義務教育修了者が60.3%で最も多いが,高校卒業以上の者も20.6%を占めている。犯行時の職業の有無を見ると,59.3%の者は職業についているが,その職種では,接客サービス業従事者及び風俗営業従事者などが多い。 II-53表 殺人事犯女子受刑者の身上特性 次に,殺人事犯女子受刑者の前歴等について見ると,前歴のない者が83.4%と著しく高く,刑務