兵庫県の「新温泉町」は日本海に面した人口1万7000人の町で、名前が示すように町内には温泉地区が広がっている。その中で最も古い西暦848年から始まる「湯村温泉」で4月10日に発電設備が稼働した。温度が100度以下の温泉水でも発電できるバイナリー方式を利用する(図1)。 この一帯は温泉が豊富に出る一方、冬には大量の雪が降る豪雪地帯でもある。発電設備を導入した日帰り温泉施設の「薬師湯」は、災害時に高齢者や障害者などが避難できる「福祉避難所」に指定されている。そのために発電設備と合わせて蓄電池を併設して、停電になっても施設内に電力を供給できるようにした。 発電設備は出力20kWのバイナリー装置2台で構成する。合計40kWの発電能力があるが、実際には湯量や季節によって出力が11~20kWの範囲で変動する見込みだ。年間の発電量は9万kWhを想定していて、一般家庭で25世帯分の電力使用量に相当する。