記事:春秋社 国語のテストで「作者の気持ち」を答える必要はどうしてあるのか…(写真はイメージ) 書籍情報はこちら 国語のテストが話題になると、よく槍玉に挙げられる「作者の気持ちを答えなさい」。詩や随筆では、書き手の心情や、あるいは意図に寄り添い、理解することが求められる。何が書かれているか、ではなく、書いている時の作者の心的状態を読み取り、共感することが、作品鑑賞のあるべき姿(のひとつ)として、推奨され、教育される。 そこには作者の嘘偽りない本心が吐露されているという「お約束」が必要になる。レトリックを駆使して読み手を出し抜こう、技巧を凝らしてあっと言わせようというような野心は、建前上なかったことにされている(考慮の対象になる場合でも、いったん棚上げにされる)。 考えてみれば、文学や芸術のみならず、工芸品や農産物、料理やお菓子にも、その論理は浸透している。「職人」「生産者」「シェフ」が「心