日本を代表する建築家であり、世界のANDOとして、建築の可能性に挑戦し続けてきた安藤忠雄さん。六本木は自身が設計した『21_21 DESIGN SIGHT』もあり、縁の深い街でもあります。今秋、国立新美術館では、過去最大規模となる展覧会『安藤忠雄展-挑戦-』も開催。建築家としての原点から都市への眼差し、そして、これからの社会への提言まで。背中を押される言葉がつまったインタビューをお届けします。 後編はこちら 生活能力と体力をかけ、住むことを楽しむ。 私が1976年に設計した住宅に『住吉の長屋』という、ある面では悪名高き家があります。中庭を通らないと居間から台所に行けない家で、建築の評論家は、それが使いにくいと言うんです。近代建築は「機能的で合理的で便利」なものがいいと言われているときに、『住吉の長屋』は、合理的ではなく不連続。2階のベッドルームからトイレに行こうと思ったら、雨の日は傘をささ