菅直人首相の要請を受け、中部電力が浜岡原子力発電所にあるすべての原子炉を停止した。これにより今夏の電力需要のピーク時には、東京電力・東北電力管内のみならず中部電力管内でも電力需給が逼迫する可能性が高くなった。さらに、東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、地域住民の不安が高まっていることから、定期点検中の原子力発電所の再稼働が難しくなっている。日本は慢性的な電力不足状態となる恐れが出てきた。 東日本大震災がもたらしたこうした「電力喪失」の事態は、日本のエネルギー政策や供給体制、電力会社の経営形態など広範囲な分野で根本的な変更を迫っている。その一つは、これまで日本では電力供給が磐石だったことから問題視されてこなかった需要サイドの抑制システムの確立が、日本でも不可欠になったことである。 「計画停電」をいかに避けるか 需要サイドの抑制そのものは、「計画停電」という形で唐突かつ乱暴な形でやってき