小さな女の子に「将来どんな仕事に就きたいの?」と尋ねた時に、「お嫁さん」という答えが返ってくるのは、決して珍しくないだろう。ここでは、「お嫁さんは仕事じゃないよ」と指摘するのがパターンだろうが、「お嫁さん」を、家事などの「家庭内労働」を主に行う「職業人」として捉えると、多少見方が変わるかもしれない。米国のデータを見る限り、家庭内労働(以降、単純化のために家事と呼ぶ)は対GDP(国内総生産)36%(2010年)という付加価値を生む、巨大産業だ。 衰退している「家事」という産業 そして、この家事という巨大産業が、衰退の傾向を示している。図1は、米国のデータを使って、家事と、サービス業の「拡大」総消費における付加価値の割合をプロットしたものだ。ここでいう「拡大」総消費とは、国民所得勘定のデータに表れる総消費に、データに表れない家事の付加価値分を足したものである。赤い実線が家事、青い実線がサービス