[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

このページの本文へ

協業後AzureデータサイエンスVMの国内使用量が4倍に

MSと協業拡大、PFNが深層学習モデル相互運用プロジェクト「ONNX」参加

2018年01月22日 12時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

 日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者(CTO)の榊原彰氏は、2018年1月18日開催のプレスラウンドテーブルの場で、マイクロソフトとPreferred Networks(PFN)の戦略協業の進展について説明した。

日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者(CTO) 榊原彰氏

 マイクロソフトとPFNは2017年5月に、Microsoft AzureとPFNの深層学習フレームワーク「Chainer」との親和性を高めるための技術協力、2社共同で深層学習分野の人材育成を行うことなどを柱とした戦略協業を発表していた。

 その後、具体的な取り組みとして、(1)Chainerを搭載したデータサイエンス仮想マシン(DSVM、深層学習ツールを構築済みのAzure仮想マシンイメージ)の提供、(2)Azure上のGPU搭載仮想マシンとInfiniBandの環境に「ChainerMN」をセットアップ済みの仮想マシン「ChainerMN on Azure」の提供、(3)深層学習の開発事例や技術動向を発信するコミュニティ「Deep Learning Lab」の発足、(4)PFN×MS認定トレーニングの提供などを行ってきた。

マイクロソフトとPFNの協業

ChainerMN on Azureで計算速度が100倍に

 榊原氏はそれぞれの取り組みの成果に言及。まず、「PFNとの提携によって、国内でAzureのDSVMの使用量が4倍に増えた」とした。

 また、ChainerMNは複数分散ノードのGPUを活用した計算処理ができるフレームワークだが、GPU搭載仮想マシンとInfiniBandの環境であるChainerMN on Azureで検証した結果、GPU数128までリニアに計算速度が向上した。これによって、「CPUで計算する場合と比べて100倍の速度を得る」(榊原氏)という。

ChainerMN on Azureの実測データ

 Deep Learning Labは、発足から半年で1700メンバーが参加するコミュニティに成長した。コミュニティから生まれた事例には、カーナビを開発するエイシン・エィ・ダブリュがこれまで目視で行っていたナビの描画異常検知にChainerMN on Azureの深層学習を使用したケース、マネックス証券がChainerとAzureを活用して深層学習による社内文章校正ツールを開発したケースなどがある。同コミュニティでは日本全国で毎月勉強会を開催しており、今後は製造業、流通業、金融業、医療業など各種業界向けのイベントを拡充していく計画だ。

エイシン・エィ・ダブリュの深層学習活用事例

 PFN×MS認定トレーニングは、2017年下半期に有償のハンズオンセミナーを10回実施した。「3日間で20万円という料金のセミナーだが、これまでに150人が受講し、受講者の満足度は100%だった」(榊原氏)。2018年、同セミナーは経済産業省の「第四次産業革命スキル習得口座認定制度(Reスキル口座)」の認定も受けた。今後は、同セミナーを「DLL Academy(Deep Learning Lab Academy)」のブランドで包括的なカリキュラムを開発し、全国に展開していく。

ChainerがONNXに参加する意義

 マイクロソフトとPFNの協業の一環として、同日、マイクロソフトとFacebookの共同プロジェクト「ONNX(Open Neural Network Exchange)」に、PFNとChainerが参加することが発表された。

PFNがONNXに参加

 ONNXは、異なる深層学習フレームワーク間で共通につかえる深層学習モデルのフォーマット。マイクロソフト、Facebookのほか、AWS、IBM、AMD、ARM、Intel、Huawei、Qualcommがプロジェクトに参加しており、ONNX形式のフォーマットは、CNTK、Caffe2、MXNet、PyTorch、TensorRTなどの深層学習フレームワークに対応している。

 今回、ONNXのフォーマットがChainerでも扱えるようになった。「ONNX対応フレームワーク間では、学習と推論を別々のフレームワークで動かすといったことが可能。例えば、学習はChainerMNを使ったマルチノードの高速な環境で実行し、推論は他の軽いフレームワークを使ってエッジで実行する、こういう使い方ができるようになる」(榊原氏)。

カテゴリートップへ