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山谷剛史の「アジアIT小話」 第147回

現地から見た、シャープのテレビが中国で売れている理由

2017年11月30日 12時00分更新

文● 山谷剛史

中国のテレビ売り場は中国メーカーだらけ。しかし最近、シャープ製品が売られるようになった

中国のテレビ売り場は中国メーカーだらけ。しかし最近、シャープ製品が売られるようになった

中国の人気ランキングから外れる日本の製品

 中国のIT製品人気ランキングで、現在確認できる最古のものを探してみたら、大手ITニュースサイトだった「中関村在線」より、2004年5月の好きなノートPCメーカーランキングがあった。

2004年5月の中国ノートPCランキング

2004年5月の中国ノートPCランキング

 これによると「IBM(ThinkPad)」がトップで、以下「DELL」「東芝」「レノボ」「HP」「ソニー」「ASUS」と続いた。

 現在中国で定番PCメーカーのレノボ(10.1%)よりも東芝(10.9%)のほうが上で、ソニー(8.5%)も健闘していた。ソニーのVAIOなどとともにThinkPadは人気で、金持ちの管理職が所有していることから「老板電脳(ボスパソコン)」と呼ばれた。

2010年9月の中国ノートPCランキング

2010年9月の中国ノートPCランキング

 同サイトの2010年の調査結果を見ると、レノボが圧倒的人気となっている。東芝やソニーもあるが、5%程度とシェアがだいぶ落ちた。アップルの名前もあるがシェアは0.6%とごくごく少ない。

2015年のノートPCランキング

2015年のノートPCランキング

 また、同サイトの2015年の調査結果を見ると、レノボが強いのはそのままに、東芝とソニーの名前が消えて、アップル(7.76%)のシェアがあがり、マイクロソフト(3.74%)も登場した。MacBookやSurfaceが売れるとなれば、中国ブランドと比べて高いから買われないという理由では説明がつかない。

 筆者は中国向けレノボの製品も使ったことがある。そのシェアに比例していい製品だとは思えない。

日本の製品が悪いわけではなく
地方での売り方が問題

2000年代前半はさまざまな機種が日本から中国市場に流れていた

2000年代前半はさまざまな機種が日本から中国市場に流れていた

今は滅多にみないVAIOを扱うPCショップ(2004年撮影)

今は滅多にみないVAIOを扱うPCショップ(2004年撮影)

 日本が嫌いというわけでもない。中国人に日本の尖ったノートPCを見せると今でも興味を持ってくれるし、街中で利用していると声がかかる。

 直近では「ポメラ」(DM-100)を列車で使っていたら「これはどこのブランドのパソコンか?」と聞かれ、日本のブランドだといい、フタを開けて単3電池を見せると「中国にはない」とたいそう驚かれた。

 日本の製品は魅力的なコンセプトの製品でないから海外で売れないというわけでもない。

2009年中国モバイルランキング

2009年中国モバイルランキング

 PCのついでモバイルについても紹介する。同サイトの人気モバイルメーカーランキングでは、2009年には「ノキア」が52.7%で圧倒的で「サムスン」「ソニーエリクソン」「モトローラ」「レノボ」と続いた。

 これが2014年には「サムスン」「アップル」の2強を「ファーウェイ」が追う形で、その後に「レノボ」「CoolPad(酷派)」「HTC」「メイズ(魅族)」が続いた。

 さらにその後には「vivo(4.5%)」「OPPO(4%)」の2社が、そのさらに下に「ノキア」が2.9%で続いていた。vivoとOPPOはその2年後にファーウェイに続く2番手グループとして、一気にシェアを高め、世界的なブランドとなった。OPPOは日本にも進出することが決まった。

OPPOとvivoが強いのは郊外や地方都市での
販売強化が要因

 筆者はOPPOの「R9」とvivoの「X9」という、2016年に両社で一番売れたモデルを購入している。パフォーマンス、質感、サービス、カメラなど、どれをとってもいいのだが、スマホマニアは、OPPOよりもvivoよりももっとうんちくを語りたい名機と呼ばれる機種があるだろう。

 それでもOPPOやvivoがものすごく売れたのは、中国の繁華街やモバイルショップ街やモバイルチェーン店で販売するだけでなく、郊外の商店街や小さな地方都市などでも看板を出すなどして積極的に売ったからである。

 中国のネットユーザーからは「田舎くさいスマホ」という評価もされているが、マスをとったからこそシェアがとれた。

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