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「エンドトゥエンドで最適化されたアプリケーション配信環境を」担当ディレクタ

アバイアのSDN/SDDCはデータセンターの枠を越えていく

2013年11月07日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

 アバイアは今年8月、SDN(Software-Defined Network)のロードマップと、その第一弾に当たるSDDC(Software-Defined DataCenter)向けフレームワーク「Avaya SDDC」を発表した。アバイアが目指すSDN/SDDCの未来とはどのようなものか。米アバイアのネットワーキング部門 ファブリック&インフラ製品担当PLMディレクタ、ランディ・クロス(Randy Cross)氏に話を聞いた。

米アバイアのネットワーキング部門 ファブリック&インフラ製品担当PLMディレクタ、ランディ・クロス氏

対象範囲はデータセンター内だけではない

 クロス氏はまず、アバイアがSDNで目指す「ゴール」を説明した。一言で言えばそれは「シンプルで迅速性のあるITサービスデリバリー環境」であり、他のベンダーの掲げる目標と大きな違いがあるわけではない。

 だが、「ネットワーク仮想化」と「オーケストレーション」をキーコンポーネントとしてアバイアが改善を狙う範囲は「データセンター内に限られるものではない」とクロス氏は強調する。たとえば、データセンター内の管理作業を容易にしたり、スケーラビリティを高めたりするだけでなく、アプリケーションごとのポリシー適用やクオリティ(QoS:Quality of Service)の管理統合までをターゲットとしているわけだ。

 「SDNやSDDCの“本当の課題”は、エンドユーザーに対して確実にアプリケーションをデリバリできるか、そしてすべてのユーザーに同じエクスペリエンス、同じ価値を提供できるかということにある。そのために、オーケストレーションやネットワーク仮想化の範囲を、(エンタープライズアプリケーションの)エンドトゥエンドにまで拡大していく」(クロス氏)

 さらにもう1つ、クロス氏はその先に実現したい環境として「Application-Driven Networking」というキーワードを挙げた。つまり、アプリケーション側が主導してインフラを最適化する環境だ。アプリケーションとインフラ(オーケストレーター)が相互にコミュニケーションすることで、アプリケーション側からリソース割り当てを要求したり、逆にインフラ側の状況に応じてアプリケーションを調整したりすることができる、とクロス氏は説明する。

Avayaではエンドトゥエンドでソフトウェア定義が可能な「Software-Defined Enterprise」環境を目標としており、SDDCはその一部にすぎないとクロス氏は語った

 クロス氏は、企業のビジネスはアプリケーションによってドライブされているのであり、企業のIT環境はアプリケーション視点を重視して最適化されるべきであると繰り返し強調した。

SPBベースの仮想ネットワークとOpenStackで構成

 8月に発表されたAvaya SDDCフレームワークは、ネットワーク仮想化技術の「Avaya Fabric Connect」、OpenStackベースでコンピューティング/ストレージ/ネットワークを管理する「オーケストレーションスイート」、そして他のSDNアーキテクチャとの統合や相互運用を可能にするFabric Connectの「オープンAPI」が基本コンポーネントとなっている。

 Fabric Connectは、SPB(Shortest Path Bridging、IEEE 802.1aq)プロトコルをベースとしたファブリックソリューションだ。SPBは、VLANやSTP(Spanning Tree Protocol)など既存のEthernet技術にあるさまざまな制約を克服し、シンプルな管理性と高い拡張性、耐障害性を実現する。アバイアでは2011年に、SPBを用いたネットワーク仮想化技術を発表している(関連記事)

SPB/Fabric Connectは、従来のVLANやSTPなどの技術的な限界を克服している。仮想マシンがデータセンターをまたいで移動するようなケースでも問題なく追従できる

 このFabric ConnectをOpenStackでコントロールできるように、アバイアではNeutronコンポーネント(OpenStackでネットワーク管理を担うコンポーネント)にSPB対応のためのコードを追加した。AvayaのオーケストレーションスイートはこのOpenStackを中核として、パフォーマンス管理などの付加的なツールも含め単一のダッシュボードを提供する。

 クロス氏は、アバイアはSDDCにおいて「オープンネス」にこだわっていると述べる。その例として、プロプライエタリなコントローラではなくオープンスタンダードのOpenStackを採用していること、一方でFabric ConnectのオープンAPIを提供し他のSDNコントローラとの連携も可能にしていることなどを挙げた。

 さらに、ネットワーク仮想化技術としてSPBを採用していることにも「明らかなメリットがある」という。「SDN、ネットワーク仮想化にまつわる課題の大半は、SPBを使うだけで解決できると考えている」(クロス氏)。

SDNの抱える課題とソリューション。複雑性や拡張性、仮想マシンの可搬性、マルチテナンシーといった課題はSPB(Fabric Connect)やOpenStackにより解決されるとクロス氏は説明した。残る課題は「ポリシー、QoSの管理」だという

 クロス氏は、今後追加しなければならないコンポーネントは「ポリシーコントローラ」だと述べた。ユーザーのリクエストやインフラの状況変化に応じてオーケストレーターが自動的にアプリケーションを起ち上げる可能性があるが、その際に企業ポリシーや法規制などに沿ったかたちで仮想インフラが構成されるよう、制御する必要があるためだ。

 また、SDDC環境のオープンネスを維持する一方で、さまざまなベンダーのインフラ機器との相互接続検証を進め、エコシステムを構築していくとも述べた。「来年には、このエコシステムがどのようなものになるかを発表していく計画だ」(クロス氏)。

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