レノボ・ジャパンは16日、Haswell世代ThinkPadの新ラインアップを発表した。
W(ワークステーション)、T(プレミアムモデル)、L(メインストリーム)、X(モバイル、Ultrabook)の各シリーズに加え、従来Edgeと呼ばれていたEシリーズの後継製品がリリースされた。外観は従来シリーズの雰囲気を踏襲しているが、一から設計しなおしたと同社が語るように内部には大きな変更が加えられている。
先行して発表済みの「ThinkPad X240s」「ThinkPad T440s」(関連記事)ですでに採用済みの5ボタンクリックパッドや、内蔵および着脱式の2系統のバッテリーを活用したホットスワップ機能などを搭載。15.6型モデルは今回から標準で10キーを装備する。
ディスプレーに関しては、T440p、X240に1920×1080ドット(IPS方式、タッチパネル有無の選択可能)の解像度が選べるほか、ワークステーションのW540/W540pシリーズには標準の1920×1080ドットに加え、2880×1620ドットのFHD++(3Kパネル)のオプションが追加される見込み。
なお、T540p/440pに関しては型番に「p」(Performance)が付くが、これが従来のT430の後継という位置づけ。ほかにThinkPad T440sや、海外向けウルトラブックT430uの後継となるT440などがある。
主力のThinkPad X240シリーズ
今回発表された製品はノートPCだけでも「ThinkPad X240」(12.5型)、「ThinkPad T440p」「ThinkPad T540p」(14.0型/15.6型)、「ThinkPad L440」「ThinkPad L540」(14.0型/15.6型)、「ThinkPad E440」「ThinkPad E540」(14.0型/15.6型)、「ThinkPad W540」(14.0型/15.6型)と多岐にわたる。
これ以外にデスクトップPCの「ThinkCentre M73」シリーズ3筐体、拡張用ドック「ThinkPad ベーシックUSB 3.0ドック」「ThinkPad OneLink ドック」、予告されていた13.3型HD+(1600×900ドット)のモバイルディスプレー「ThinkVision LT1423p」(バッテリー内蔵のワイヤレス接続版とUSB接続版の2種類)、29型でアスペクト比21:10(2560×1080ドット)の「ThinkVision LT2934z パノラマ・モニター」、OneLinkという新しい拡張端子を備えた21.5型(1920×1080ドット)の「ThinkVision LT2223d」など多彩だ。
このうち、ラインアップの主力となりそうなのが、「ThinkPad X240」だ。ThinkPadシリーズのうち12.5型以下のモデルの構成比は約50%。Xシリーズで培った技術をより大型の製品に展開していく例も多い。
ThinkPad X240の参考スペック | ||
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製品名 | ThinkPad X240 | |
(製品番号) | 20AL006TJP | 20AL006UJP |
市場想定価格 | 23万5000円 | 21万8000円 |
CPU | Core i7-4600U(2.10GHz) | Core i5-4300U(1.90GHz) |
メモリー | 8GB(最大8GB) | |
ストレージ | HDD 500GB | |
GPU | Intel HD Graphics 4400(CPU内蔵) | |
ディスプレー | 12.5型(1366×768ドット、IPS方式、10点マルチタッチ対応) | |
I/O | USB 3.0×2(うち1つはPoweredタイプ)、アナログRGB出力、Mini DisplayPort、SDカードスロットほか | |
通信機能 | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/g/n、Bluetooth v4.0 | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth v4.0 |
カメラ機能 | 720pカメラ | |
サイズ | 約305.5×208.8×21.5mm | |
重量 | 約1.47kg | |
バッテリー駆動時間 | 約10.3時間 | 約11.7時間 |
OS | Windows 8 Pro(64bit) |
ThinkPad X240の基本性能は、X240sとほぼ同等。ThinkPad X240sの厚さ約17.7mm/約1.34kgに対して、厚さ約21.5mm/約1.47kgとサイズは若干大きくなるが、ホットスワップに対応し、ThinkPadドック用のコネクタを持つ。またX240s同様フルHDパネル搭載モデルのリリースが予定されている。X240sよりも厚いといっても、従来モデルのX230と比較して、約25%の薄型化。95Whのデュアルバッテリー搭載やシステム自体の省電力化により、最大約30時間(従来比150%の改善)の長時間駆動を実現しており、Haswell搭載により、性能面での改善も見られる。
特にX240sとの比較では、コストと堅牢性の両立という点で、ハイブリッド構造(Exo Skelton)の筐体としている。ThinkPad X240sはマグネシウム合金の利用で薄型化を図っているが、X240ではキーボード面にポリカーボネート、底面にグラスファイバー(GFRP)を使用。一方で不足する強度を補うため、パームレスト部分にマグネシウム合金製の補強部品(ロールケージ)を重ねている。このロールケージはHDDの直上となる部分をハニカム構造にしているほか、ヒンジから延長したステンレス製のブラケットをつなげている。
このほかフローティング構造のHDDインシュレーター、トラックポイントを薄型化するためのセンサー基板と制御基板の分離、マザーボードサイズと利用パーツの小型化、パンタグラフやラバードームの使用で、ThinkPad Helix搭載の第一世代より操作感を高めた第2世代TrackPadなどThinkPad X240sと共通する改善も数多く盛り込んでいる。
電源供給とDock接続のための新端子「OneLink」
新しさという点では、電源端子とUSB/HDMI用の拡張端子を一体化したOneLinkの採用にも注目したい。今回発表された製品ではThinkPad Edgeの後継となるThinkPad E440/E540のみが搭載するが、今後搭載機種が増えていく見込み。
簡単に言うと電源供給、音声出力を含むディスプレー接続、USB端子の追加が一本のケーブル接続で済ませられるというもの。同時発表された「ThinkPad OneLinkドック」(価格1万1000円程度)や「ThinkVision LT2223d」などと接続することで、ケーブル1本でUSB端子やGigabit Ethernet端子の追加が可能となる。ThinkPad OneLinkドックの上部には電源ボタンも装備しており、ここからThinkPadの起動・終了も可能だ。
机上のディスプレーと電源にThinkPad OneLinkドックを接続した状態にしておけば、持ち帰ったThinkPadをスピーディーにデスクトップ的な快適な操作環境に移行できる。外付けHDDなどの周辺機器や有線LANなどのケーブル、あるいはヘッドフォンなども接続したままの状態にできるのも魅力だ。
パフォーマンスのT、そして攻めの領域となる15型クラス
ThinkPad T440p(14.0型)/T540p(15.6型)は、Ultrabook並みの携帯性を持つT440sを含め、モバイルも可能なフラッグシップ機という位置づけ。企業向けPCではノートの約70%が15.6型クラスといわれているため、ThinkPadとしても攻めの分野である。
10キーなど据え置きの事務業務に適した機能の拡張に加え、フラッグシップのT540pやCADやDCCなどを想定したThinkPad W540では3Kディスプレーの搭載も可能になる見込み。またLシリーズも廉価版とはいえ、Tシリーズとそん色ない外観で、さらに大量導入を想定した低価格モデルでもセキュリティー性に配慮したユーザーに向けて、vPro対応モデルも追加している。
各製品の価格や詳細なスペックに関しては、レノボのショッピングサイトなどや発表資料などで参照してほしい。