最新のiPhone 5世代になって接続端子が「Lightning」に変更されたのは、もう多くの人が知っているだろう。
悲鳴を上げたのはiPodスピーカーを発売していたオーディオメーカーだ。これまで発売していた製品ではiPhone 5以降のモデルに対応できなくなってしまうためだ。実際、昨年末あたりから有線ではなく無線でつながるBluetoothスピーカーに注目が集まり出すなど、iPhone用オーディオシステムにも大きな変化の波が訪れた。
とはいえ、Bluetoothはワイヤレス接続の利便性はあるものの、音質という点では少々不利だ。信号を「SBC」というコーデックで送るのが標準であり、音質劣化を嫌う人も少なくない。
最近は「AAC」や「apt-x」といった比較的高音質なコーデックに対応したモデルも多いが、USB端子直結ならば、非圧縮でそのまま伝送できることを考えると、音質にこだわる人には気になるところだろう。
そんななか、いよいよLightning端子を採用したDockスピーカーが各社から発売されはじめた。まだまだ決して数は多くないが、iPhone 5ユーザーには気になるところだろう。iPhone 5や同世代のiPod nano/touchなどを使っている人のためのオーディオ製品を紹介するこの特集の第1回では、そんなLightning対応モデルを紹介していく。
手軽に持ち運べるポータブルモデル
しかし音質もあなどれないソニー「SRS-GM7IPN」
まずは、4月20日にLightning対応製品を一気に発売するソニーから。なかでも、音質的にもなかなかの実力だったのが、「SRS-GM7IPN」(予想実売価格8000円前後)だ。
幅226mmのコンパクトなサイズで、上部には持ち運び用のハンドルまで備えている。電源はACアダプターと単4電池(4本)の両方に対応しており、屋外などでも使えるようになっている。
コンパクトなスピーカーは、フルレンジ型ユニットを採用。デジタルアンプ内蔵で2W+2Wの出力となっている。Lightningのドックコネクターのほかには、ステレオミニ端子のアナログ入力も備えているので、多くのポータブルプレーヤーなどとの接続も可能だ。
こうしたポータブルサイズのモデルだと、音質の方もそこそこというのが相場だが、意外にいい音がして驚いた。というのも、筆者は手持ちのiPod touch(もちろん最新世代)にCDからリッピングした音源を非圧縮のままWAV形式で保存しているが、リニアPCM音源のままダイレクトにデジタル入力されるので、非常に情報量の豊かな音になる。
まずは、初音ミクがゲスト出演している冨田勲作曲の「イーハトーブ交響曲」を聴いたが、音の粒立ちがよく、オーケストラの楽器や混声の合唱団の声などをくっきりとした音で再現した。
もちろん、サイズがコンパクトなため、左右の広がりやオーケストラの雄大さはこじんまりとしてしまうが、楽器や声にともなうホールの響きなど、微小な音もきちんと鳴らすので、不満は少ない。
ドナルド・フェイゲンの「サンケン・コンドズ」を聴いても、厚みのあるボーカルのニュアンスがしっかり伝わる。軽妙にリズムを刻むベースやドラムはさすがにやや力強さが足りないものの、反応はよく、リズム感はしっかりと出ている。
ポイントは充実した中音域を中心としたバランスで、くっきりとした音で聴きやすく仕上げていることだろう。微小音や音の勢いがしっかりと出るのは、Lightningによるダイレクト接続の効果とも思える。
コンパクトサイズでいい音をと考えたとき、Lightning対応はかなり頼りになると感じた。
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