今回はいよいよ本特集の目玉(!?)といえるDSD音源の再生に挑戦する。詳しくは第1回を参照してほしいが、DSD音源はリニアPCM記録とはまったく異なるデジタル記録の方式で、もともとはスーパーオーディオCD用に生まれたもの。
スーパーオーディオCDはPCでは読み込めないディスクなので、PCを使って再生することができない。今にして思えばこれが普及を阻んだようにも思うが、それはさておき、もともとPCでの運用を考えていなかったせいもあり、リニアPCMのような簡単には再生ができる環境が整わなかったのだ。
スーパーオーディオCDから“脱皮”したDSDが普及へ!?
では、今さらわざわざPCで再生する必要があるのかと思う人もいるだろうが、スーパーオーディオCD用に録音されたものをはじめ、現在も録音の現場ではDSD収録を行なうことがあり、音源は増えている。
スーパーオーディオCDは無理でも、その録音技術であるDSDはPCで使えた方が都合がいい。そう考えたのは、プロオーディオの現場やDTMユーザーなどだ。そこで、DSD録音のためのレコーダーなどが発売されはじめ、DSDは録音の世界ではそれなりに普及し、活躍している。
こんなDSD音源を当初はどうやって活用していたかというと、「DSDディスク」という形でDVDメディアに記録してプレーヤーで再生していたのだ。今回も主役のように活躍するコルグのオーディオ・フォーマット変換ソフトの「AudioGate」もDSDディスク作成機能を持っている。
PCオーディオとはちょっと外れるのだが、なぜこんな話をしたかというと、DSDディスクは現在発売されている多くのスーパーオーディオCDのほか、PlayStation 3でも再生できるからだ(スーパーオーディオCDの再生は初代機だけだが、DSDディスクは現行機でもOK)。
前回紹介したように、PCでDSD再生を楽しむには、コルグの「DS-DAC-10」などのDSD再生に対応したUSB DACが必要だが、今すぐそれを手に入れるのムリ。でも、PlayStation 3は持っているという人がいれば、DSD再生を楽しめる。
PlayStation 3を使って比較的手軽にDSDを再生!
- 必要なソフト:AudioGate(DSDディスク作成用)
- 必要な音源:購入したDSD音源
- 必要なハード:PC(DSDディスク作成用)、PlayStation 3
まずは、AudioGateのダウンロードから始めよう。まずは、コルグのAudioGateのページにアクセス。ここでは使い方をはじめとしてさまざまな情報も掲載されているので、ここも合わせて読んでほしい。ここから「ダウンロード」をクリックすると、AudioGateのダウンロードページへ移動する。
AudioGateは、本来ならばDS-DAC-10などと組み合わせて使うソフトで、DS-DAC-10と接続し、機器を認証した状態でないと使用できない。しかし、Twitterアカウントを使って登録すれば、DS-DAC-10がなくてもソフトを使用できる。これで、PC上でのDSD音源再生環境も整うわけだ。
厳密に言えば、DS-DAC-10でなければDSD信号をUSB出力できないし、せっかくのDSD音源をPCの内蔵スピーカーで再生するというのも味気ない。そのため、今は再生は確認程度にとどめ、購入したDSD音源などをディスクに保存してDSDディスクを作ろう。
DSDディスクの作成には、AudioGateとDVD記録が可能なPCが必要。PCのドライブにDVDメディアをセットしたら、AudioGateで作成したいファイルを選び「BURN DISC」(ディスク作成)ボタンを押すだけだ。普通に音楽用CDを作成するのと同じ手順だ(PCMに変換してCD-Rに焼くこともできる)。
だからといって、AudioGateを使わずに、生のDSD音源をOS上でDVDディスクにコピーしてもDSDディスクになるわけではないので注意しよう。
後の操作は自動で行なわれ、少し待っているとディスクが完成する。このディスクをPlayStation 3に入れてやると、DSD音源を再生できる。PlayStation 3をAVアンプなどと接続して使っている環境ならば、DSD音源のよさをしっかりと再現できるだろう。
ここで注意したいことがひとつ。PlayStation 3はHDMI出力や光デジタル出力では、リニアPCM信号と、ドルビーデジタル音声などのビットストリーム出力ができず、DSDそのままのデジタル出力はできない。つまり、DSD音源を内部でリニアPCMに変換してからデジタル出力している。これをPCM変換出力という。
これは、現在の時点では意外と多いDSD再生対応の形で、AVアンプにもDSD再生対応ができるモデルはあるが、まだまだ数は少なく、PCM変換出力でDSD再生に対応するモデルもある。
厳密に言えば、PCM変換を行なうため、いわゆる“ネイティブDSD再生”ではないのだが、それでもDSDの音のよさはきちんとわかる品質だ。ともかく、DSD音源の再生そのものは決して高価な製品や対応機器の購入なしでも楽しめるということをわかってほしい。
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