日本人視点で振り返ってみれば、2010年は中国の話題で満載だった。割とマシな話題は上海万博くらいで、今年の前半は「Google中国から(香港に)撤退」が、後半は「尖閣漁船衝突事件」「ノーベル平和賞発表」「5年ぶりの反日デモ」「尖閣漁船ビデオ流出」「ノーベル平和賞授賞式(への不参加)」と続いた。
まさかノーベル(平和)賞を反中国政府的な人物が受賞するとは、さすがに中国自身も思っておらず、例年のように中国人受賞者が出るかを期待していたのだろう。メディアでノーベル賞特集記事が組まれたことで、平和賞のことを知るネットユーザーは結構いた。
Googleはヘビーユーザーにはお馴染みのサイトであることから、中国撤退のニュースぐらいは知っている人もいるが、一方で、前述した事件をひとつも知らない中国人も多数いる。
中国人が敏感な問題に対して無知な原因として、「ニュースサイトには敏感な中央政府を悪く言う記事が原則存在しない」「新聞やテレビにはネット以上に中央政府に不都合な記事は存在しない」「中国国内から書き込めるサービスで、中央政府のナーバスでネガティブな話題は即消される」「中国人のネットユーザーの主目的はゲームやコンテンツ視聴」といったことが背景。よほどアンテナを立てない限り、世界が注目する中国のニュースを知ることはない。
過去の記事でも書いたが、中国では中央政府の話題に触れなければ、ネットなどへも比較的自由に書き込める。上海のビル火災に対して上海市政府への不満を書いたり、どこかの地域における強制的な土地収用や役人の汚職に関して不満を書くことは問題ないし、メディアだってニュース記事を書く。
インターネット利用者全体から見れば極めて少数派ではあるが、世界にアンテナを立てている人もいる。そうした人たちは中国国内のネットを超え、中国からはアクセスできない「Twitter」に様々な方法を駆使してアクセスし、同じ志を持つ人々と意見交換をする。
では今年の中国政府が(事件当初)、ネットでNGワードとして隠そうとしていた各事件に対し、どれだけの中国人Twitterユーザーが反応したのだろうか。Googleを使い、Twitter上の中国語簡体字でのつぶやきに検索対象を絞って調べてみた(ちなみに中国からGoogleを使い、これら事件のような敏感な単語に関連するワードで検索をかけると、瞬時に「サイトは見つかりません」のエラー画面が表示される)。
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