年賀状を書く際には、新年を祝う賀詞以外にも、旧年中の感謝の言葉や、変わらぬ愛顧/支援/指導、相手の健康や幸せなどを願う言葉を書くことが多い。ここではその例を簡単にまとめておく。
なお縦書きの挨拶状では、句読点を使用しないこと、段落落とし(文頭を1文字分空ける)をしないことが正式であるため、目上の方に年賀状を送る際は注意してほしい。この場合、全角空けあるいは半角空けや、改行することで文章を構成するとよいだろう。
句読点を使わない理由は、元々句読点が文章を読み慣れない年少者などへの配慮とされていたこと、また「慶事に終止符をうつ」ことを避けるためともいわれている。
旧年中の感謝の言葉
賀詞に続く形で、まずは旧年中の感謝やお礼の言葉を記す。
- ○昨年は格別の御愛顧を賜わり厚く御礼を申し上げます
- ○旧年中は何かとお世話になりありがとうございました
- ○昨年は格別のお引き立てを賜わり
御礼を申し上げます - ○旧年中の御厚情に深く御礼申し上げます
- ○昨年は一方ならぬお力添えをいただき
ありがとうございます - ○昨年は公私にわたってお世話になり
心より感謝申し上げます
変わらぬ愛顧、支援/指導などを願う言葉
次に、新たな年でのお付き合いと、支援/支援をお願いする文章を書く。
- ○本年も何卒宜しくお願い申し上げます
- ○今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜わりますよう
よろしくお願いいたします - ○本年も倍旧の御高配を伏してお願い申し上げます
- ○今年も宜しく御支援の程お願い申し上げます
- ○本年もお引き立ての程お願い申し上げます
- ○本年も相変わらず御愛顧の程お願い申し上げます
相手の健康や幸せを願う
最後に、相手の健康、幸せ、発展などを願う内容を結びの文として書く。
- ○皆様のご健勝ご多幸を心よりお祈り申し上げます
- ○皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
- ○皆様には幸多き一年となりますようお祈り申し上げます
- ○ますますのご活躍をお祈り申し上げます
- ○皆様のご清福を心よりお祈り申し上げます
- ○貴社の益々のご発展を祈念いたします
- ○貴社益々のご繁栄を祈念いたします
敬語の使い方に注意
敬語は、相手への敬意を表わす言葉だが、使い方を誤ると相手に悪い印象を与えかねない。敬語に複数の種類があり、それぞれ機能や使い方が違っているので、正しい使い方を身に付けておくとよい。
文化審議会による文部科学大臣への答申として2007年に公開された「敬語の指針」(PDF)では、従来「尊敬語」、「謙譲語」、「丁寧語」の3種類とされていた敬語が、「尊敬語」、「謙譲語I」、「謙譲語II(丁重語)」、「丁寧語」、「美化語」の5種類に分類し直されている。
これによって、従来の3種類では誤りとされてきた表現のうち、新たな5種類の分類に当てはめると正しい言い回しとなるものが出てきている。敬語の指針には、5種類の敬語の特徴に加えて具体的な使い方がまとめられているので、目を通しておくとよいだろう。
敬語の種類と特徴 | ||
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3種類 | 5種類 | 機能/性質(「敬語の指針」より) |
尊敬語 | 尊敬語 | 「いらっしゃる/おっしゃる」型。相手側または第三者の行為/物事/状態などについて、その人物を立てて述べるもの |
謙譲語 | 謙譲語I | 「伺う/申し上げる」型。自分側から相手側または第三者に向かう行為/物事などについて、その向かう人物を立てて述べるもの |
謙譲語II(丁重語) | 「参る/申す」型。自分側の行為/物事などを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの | |
丁寧語 | 丁寧語 | 「です/ます」型。話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの |
美化語 | 「お酒/お料理」型。物事を美化して述べるもの |
忌み言葉
「忌み言葉」とは、縁起が悪いため使用を避けたほうがよいとされる語句を指す。別離/去就や死、けが、病気、倒産、廃業、失業、火事、災害、不幸、苦しみ、失望、絶望などを直接意味する語句や、連想される語句は避けるように注意したい。例えば「去」を含む「去年」という言い回しは使わず、「昨年」、「旧年」という表現を利用する。
また、返信のための年賀状において、「新年早々〜」、「早々に〜」などと書き出すと、”早すぎる”という意味に受け取られる可能性があるため、「ご丁寧に」や「お心づくしの」などの表現にしたほうがよいとされている。