郵便局(旧郵政公社)にも導入されたSaaS界の雄、セールスフォース・ドットコムの「Salesforce」が、今度は総務省のお墨付きを得ました。これによって、今後は地方公共団体でもSalesforceの導入が一気に進むかもしれません。
このお墨付き、正式には「ASP・SaaS 安全・信頼性に係る情報開示認定制度」という認定制度。総務省と業界団体のASPIC(NPO法人ASP・SaaS インダストリ・コンソーシアム)が策定したガイドラインに基づき、ユーザーがSaaS/ASPサービスを選ぶ際に必要な項目を正しく開示しているかどうかをチェックする、というもの。実際の審査・認定は、総務省の外郭団体「財団法人マルチメディア振興センター」が行なっています。初回となる今回は、セールスフォース・ドットコムのほか、ビジネスオンラインなどの計6社8サービスが認定されました。
いま注目を集めるSaaS/ASPですが、数年前のASPブームでは、ベンダーの倒産や撤退によりサービス中止に追い込まれるケースも発生。また、セキュリティやバックアップ体制など、肝心のサービスの中身についても、ユーザーが安全性を確認するすべはこれまでありませんでした。これでは、SaaSベンダーがいくら「銀行にお金を預けるように、大事なデータはSaaSでデータセンターに預けましょう」といってもなかなか安心できないのも事実。新制度によって、サービスを選ぶ際の最低限の基準が1つ、生まれたことになります。
総務省では今回の認定制度スタートを受けて、各都道府県や市区町村に対して、認定サービスの利用を促す通知を送付。また、同様の制度を持つ韓国との相互認証についても話し合いを進めているとのこと。ベンダーにとっては、ユーザーに対して信頼性をアピールできるだけなく、地方公共団体での採用や、ゆくゆくは韓国進出も狙える、といったメリットがありそうです。
総務省 情報通信政策局 情報通信政策課の秋本芳徳課長は、「(2007年の総務省の調査では)SaaS/ASPがよく分からない、あるいは利用する予定がない、と答えた企業が7割に上る。まずは今回の制度で安心・安全に利用できる環境を整え、普及を促したい」と話しています。