今回のテーマは「医療」。突撃取材で知られるマイケル・ムーアの最新作「シッコ」、カルトヒーロー「ザ・クランプス」が精神病院でフリーライブを行なった「ザ・クランプス 精神病院ライブ」、怪優ジャック・ニコルソンの名演でアカデミー賞主要5部門を独占した「カッコーの巣の上で」の3タイトルを紹介する。
見たいけど見たくない!? 米国のオカシな医療の実態
シッコ
DVD
発売日:2008年4月4日(発売中)
価格:3990円
発売元/販売元:ギャガ・コミュニケーションズ
http://www.gaga.co.jp/
「シッコ」(Sicko)とは「病人」とか「いかれた奴」などを指すスラング。タイトルにはアメリカの医療制度はイカれていて重病に冒されている、という意味が込められている。
運悪く、アナタが怪我をしたとします。治療に行った病院の医師が舌なめずりしながら、「治療には松竹梅がありまして、やはりオススメは松コース。完璧なケアをお約束しますよ。料金は150万ドルと少々お高いのですが……」。
筒井康隆の小説にありそうなブラックなシチュエーションが、今、アメリカでは実際に起こっている。
日本の医療制度も“対岸の火事”ではない!?
世界一豊かな国、アメリカの医療制度は先進国一劣悪。国民健康保険がなく、国民は民間の保険会社に頼るしかない。しかしそこには厳しい審査が存在し、それにパスしても保険会社はわずかなほころびを見つけ出し、支払いを拒否する。
徹底的にアメリカの惨状を見せつけたあと、舞台はお隣のカナダ、イギリス、そしてアメリカ人を毛嫌いするフランスへと移動する。充実した医療制度を紹介したあとに行くのはキューバ。アメリカの医療制度は社会主義国家であり、憎むべき仮想敵国よりもはるかに劣っている。アメリカ人のショックは相当なものだろう。
豊かな医療制度にはそれ相応の負担が国民にかかるものだが、本作ではあえてそこには触れていない。何事も最初の一歩はまず知ること。マイケル・ムーアは改革への火種として本作を製作したのではないだろうか? アメリカを愛し、アメリカ人のフロンティアスピリッツを信じている監督だからこそ撮れた衝撃のドキュメンタリー。アメリカに右へならえの日本に住んでいるわれわれも、対岸の火事とは言っていられない。
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