はてなキーワード: 法曹とは
お前らが反映させようとしているってことをまず理解しようよ。
あとこういう批判が全くかみ合っていない時点で、リプライを送るに値しない。
裏表も関係ない。
趙 誠峰/CHO Seiho
@cho_seiho
すごく極端なこと言ってるかもしれませんが、私は「間違った無罪判決」は存在しないと思います。
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ひで@京都減税会
@ITOHHideo19999
言いたいことはわかるんだけど、法曹は法律のことだけするのか、そうじゃなくて社会の規範も決定するのか、どっちか決めようよ
LGBTとか同性婚で社会はこうあるべきだというのを発信しちゃってるじゃん
医者が入院すべきとした患者を弁護士に送り返したら文句いうやん
自分たちの都合に合わせて、裏表を使いわけすぎ
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そういう髪型だったらヨーロッパみたいにかつらをかぶったほうがいいと思ったくらいだ。
例えばスポーツのレフリーなどかっちり固めてるのも”判定”というものの権威を持たせるためだと思う。
相変わらず愚かだ。
言っていることは人民裁判以外ないです。
あたまがおかしい。政治学をやっていてこの発言はあり得ないのです。
Ogura.H
@dli_coipchirt
15分
証拠に基づかずに人を処刑できる人民裁判の復活を目指すのですね。
@0123ludo
裁判官や法曹は特権階級ではない。飯島健太郎問題を素人さんにはわからんでしょうがと法律家が庇うのに大きな違和感がある。滋賀医大事件は極めて政治的なマターだ。誰の身に起こってもおかしくない性暴力を受け動画撮影までされた被害者の声が届かない司法など一回、全面的に壊して改革したほうがいい
@sato__michiko
出遅れてしまいましたが、私は大阪高裁判決を出した裁判官を【裁判官訴追委員会】に訴追する、つまり裁判官としての地位まで奪おうとする署名は危険だと思います。
滋賀医大生の事件は、現行法の不同意性交等罪ではなく、改正前の【強制性交等罪】で逮捕起訴されました。
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@0123ludo
オニオンスープと猫が好き 鉄オタ志望 東京出身ですが今は大阪の大学で政治学を教えつつ、楽しく美味しい関西暮らしを満喫しています。
今回これではっきりした真実です
@HayakawaHayat
1時間
こういう女性、理系も向いてないし法曹にも向いていないので文学部でジェンダー学専攻しながらお気持ちエッセイ書くしかない。
学者先生とかリーガルドラマ作者とかが、まるで近代法倫理を理解していないかのように性犯罪無罪判決に反対していると驚かれてますが
理解していないのではなく
「証拠や根拠が重視されることが男性的であり、女性の感覚を重視する法運用に変えなければいけない」と確信してやってるんですよ。
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@obpmb3fN93mQI9i
判決文や証拠を見る気も時間もないので、無罪判決が正当か不当かは判断できんし書く気もない。
ただ、「有罪の立証はされてないから無罪」と判断した裁判官の職務執行に不合理な点はないと思うから、裁判官を訴追したり退職に追い込むのは大反対。
みんな頑張ろ。
有罪の立証責任は検察側が負うもので、法廷に出てきた証拠に基づいて裁判所は判断しただけだと思う。
検察側の立証が不十分だったという話に過ぎない。
証拠も判決文も出てない段階で署名運動をして裁判官個人を避難するのは流石におかしい。
これまでのフェミニストたちの悪い意味での八面六臂の大活躍はスルー出来たけど、憲法の根幹に関わる署名運動は一線を超えてるなと。
なんか虎に翼の脚本家へのリプライで、もし今寅子が居たら判決に怒ってたはず!みたいなものを見るけど、普通に考えて法曹なら判決を読まずに批判するわけないし、証拠を見て有罪の心証を抱けなければ、疑わしきは罰せずの観点から無罪判決を導いたと思うよ。
の署名が盛り上がっている。
署名数は10万に届こうとしており、高裁判決への草の根の声が可視化されている。
が、少し引いた視点で見てみると、本件は全く別の意義を含んでいるようにも感じる。
Xなどを眺めている限り、法曹関係者でこの署名に賛同している人をほぼ見かけない。
どうか、飯島健太郎裁判長を含めた大阪高等裁判所の裁判官の判断に対して「NO」を突きつける為のご協力を頂きたいです。
年内には、署名リストを印刷し、これだけの同意があったことを示すべく、「大阪家庭裁判所事務局」及び「裁判官訴追委員会」への提出を試みます。
裁判官訴追委員会は国会議員で組織されるため、これを利用したい政治家が現れれば世論を盾にいとも簡単に裁判所に介入することが可能になる。
司法の独立が侵されるということは、三権分立の崩壊であり、ひいてはみんなの大好きな立憲主義の機能不全に繋がる。
とはいえ、岡野タケシ氏がXに投下したハメ撮りの音声書き起こしとされるものを見る限り、被告への心証は極めて悪く、これを擁護すると袋叩きにあう空気も確実にある。
それでもなお、日本の法曹関係者のみならず、リベラル右派問わず知識人たちは揃って本署名の問題点を指摘し、署名への反対を表明している。
津田大介氏ですら反対しているし、太田啓子氏のようなフェミニスト弁護士でさえも、判決には強い批判をしているとはいえ署名には全く触れていない。
このポピュリズム的な『空気』に対して法曹界や知識人たちが政治的立場を超えて抗う姿が可視化されたこと、これは日本社会の成熟を示すものとして、私は感慨をもって受け止めたいと思う。
これだとできるだけたくさんの人が署名してくださいってしかならないね。
なぜなら「できない」が正しいから。
滋賀医科大学の男子学生無罪判決の件、判決に納得できず怒りの声があふれてるのもわかるし、法曹関係者が非難一色のネット世論や署名のあり方に懸念を持つのもわかる。
個人的にはあのネット署名、最後まで文章読んで拡散してる人がどれだけいるかってことが気になってます。
ページのタイトルは「反対意思を表明します」なんですが、文末に「年内には、署名リストを印刷し、個人で訴追請求事由を記した文書と共に、これだけの同意があったことを示すべく『裁判官訴追委員会』への提出を試みます」と書かれています。つまり、あなたの署名は訴追への同意として使われることになるわけで「判決には反対意思を表明したいけど、裁判官の訴追まで求めているわけではない」という方は、対処を考えた方がいいかもです。
https://x.com/tsuda/status/1870503432513331648
もっともこのネット署名がたくさん集まって訴追請求されたとしても、実際に訴追・罷免まで行く可能性は限りなく低いとは思います。
https://sotsui.go.jp/system/index3.html·
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https://x.com/tsuda/status/1870509358389579935
@mepphyj
下線で強調されている部分を参照。飯島健太郎裁判官の訴追は、この場合できません。 https://sotsui.go.jp/system/index3.html
草津町の時と比較して、それから読むと、いかにでたらめなのかがわかります。
@KamogawaSanjo
草津町黒岩町長「佐藤倫子弁護士は私の事を性犯罪者と見做して侮辱した」
@KamogawaSanjo
佐藤倫子先生が所属する「あすわか」は、かつて草津町と黒岩町長に誹謗中傷発言をし、謝罪の言葉も無く削除逃亡されましたがそれについてはどうお考えですか (´・ω・)
https://x.com/KamogawaSanjo/status/1712811774276489719
@sato__michiko
出遅れてしまいましたが、私は大阪高裁判決を出した裁判官を【裁判官訴追委員会】に訴追する、つまり裁判官としての地位まで奪おうとする署名は危険だと思います。
滋賀医大生の事件は、現行法の不同意性交等罪ではなく、改正前の【強制性交等罪】で逮捕起訴されました。
【強制性交等罪】は、現行の不同意性交等罪と異なり、【同意の有無】ではなく、【被害者の犯行を著しく困難にする程度の暴行脅迫】があったかが問われるので、元々、このような結果がありうる構成要件だったのです。
改正前の強制性交等を厳格に適用すれば事案によっては同意のない事案でもこのように無罪になることがあり得るからこそ、法改正がなされたわけなので、私たちはそのことを忘れてはいけません。
そして、裁判官は、あくまでも【事件時に施行されていた法律】により、証拠に基づいて判断することしかできません。
なので、私にはこの無罪判決がおかしいのかは、正直分かりません。もちろん、判断に問題があることも十分にあり得ると思いますが、必ずあるとも判断できません(そもそも判決文を見つけられてない)。極端な話、私が裁判官であっても、同じ判断をするかもしれません。
法と証拠に基づいて個別の事案について判断した判決を、ただ報道を見て不当だからと【裁判官訴追委員会】に訴追する、つまり法曹資格さえ剥奪しようとするのは、極めて危険ではないでしょうか?
社会が叫ぶからといって法を適用すれば無罪になるものを有罪にして刑務所にぶち込むことが果たして正義ですか?それって、極めて危険ではないでしょうか?
たとえ無罪になったとしても本件は民事的には不法行為になり、損害賠償義務は負うし、それに基づいて医大が処分することが可能だったりすることは、先日の東北大学の事案で分かると思います。
みなさんには、個別の事案に関する判決ひとつをもって【裁判官訴追委員会】に訴追を求めるような署名や運動には、慎重になっていただきたいです
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外部者が無罪判決の事実認定を正確に批判するのは、ほぼ不可能である
@otakulawyer
例の大阪高裁無罪判決を出した裁判官への訴追請求が盛り上がっている。これは裁判官の独立を脅かす非常に危険な動きである。この背景には、袴田事件などの誤った有罪判決=冤罪事件を出した裁判官に対する社会的な批判、法曹関係者による批判が盛り上がったことが影響したのではなかろうか?つまり、有罪判決への批判と無罪判決のへの批判が同質のものであるという誤解が背景にあると考える。
今、必要なのは、有罪判決に対する批判は容易だが、無罪判決を批判するのはほぼ不可能であるという両者の違いを分かり易く説明することだ。
「疑わしきは被告人の有利に」という原則がある以上、有罪判決の事実認定の批判は相対的に容易である。判決の穴を探せば良い。
無罪判決の事実認定の批判は難しい。日本の有罪率が99%超えである所以は、法律のプロである検察官は有罪判決を取れそうな案件しか起訴しないからだ。起訴された案件は有罪っぽく見えるのであり、最終的に事実認定権者が検察官の立証のどこかに「合理的な疑い」という穴を見つけた場合、何かがひっかかったばあいに無罪となる。「合理的な疑い」の有無は実際に証言を聞き、証拠を見た事実認定者にしか分からないからだ。このように、外部者が無罪判決の事実認定を正確に批判するのは、ほぼ不可能である。
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これは
casm 判決や審理ではなく(そもそも訴訟してるの?)事故調つまり医療側の評価を容れて払った、という基本的な事実関係を読み取れず、事実と真逆の憤りに囚われた例。医療訴訟の経験のない医療者によくあるバイアス。
こいつが正しいな、、(悔しい)
ブコメ全体は医療側に同情的で、自身も医療側である私にもありがたい言葉が多いが、しかし多分、正しいことを言ってるのはコイツ。増田は筆が滑ってしまった。私自身もこういうこと(思い込みで筆滑る)があるし、確か以前casmにやり込められたことがある気がするので共感性羞恥みたいなものもある。
要するにゼロリスクを奉じているのは医療側であり、そのゼロリスクを達成できず自ら損害賠償金を払ったのも医療側である。法曹側を責めるのは筋違い。ってことか。
すると厚労の検討会での井上弁護士が言うように医療安全性のバランスを取った上で、つがる総合病院の件については医療安全性のバランス上容認すべきリスクの範囲内で、医療側に責任はない。と主張するべきなのかもしれないです。
コストベネフィットとか医療経済とかそういうのが進んでいる国、と言えば、イギリス、アメリカである。そしてこの両国は、最先端医療の応用はいつも一番乗りだけど、全体としての医療レベルはあまり褒められたものとは言えないと言われていて、事実、ドーバー海峡両岸では、きちんとした医療を受けるためにイギリス人は海峡を渡ってフランス側の病院にかかるとかいう実しやかな噂もあった。
もう少しきちんとした話をすると、医療レベルという意味ではフランスが世界一だったりして、日本もかなり順位は高くて、英米よりだいぶ順位が上だったりするわけである(昔の話かもしれないけれど。ただし昔と今で違うのは日本が順位が落ちてるかもしれないという点で、英米が上がると言うことはなさそう)。
つまり医療者には根本的に、井上弁護士の言うような「バランス」の概念を理解した上で、その上でバランスをロジカルに考えることは医療レベルを下げるだろう、と思っていて、そういう頭の中のグワングワンをきちんと整理せずに感覚として持っている。
だがここはもう少しきちんと論理的に言語化できるといいのにな、と思う。せっかく日本の医療者は世界に誇るべき高い医療レベルを誇っているのだが、あんなcasmみたいな冷笑家にロジカルにやり込められてしまうのではもったいないと思うのだ。
コメントで厳しい指摘のある通り、つがる病院の件は裁判を経た賠償ではなく、「産科医療保障制度原因分析委員会や県外の複数の産婦人科専門医の意見等を踏まえ」て病院が責任を認めて賠償金を支払ったものだった。
また、事態の詳細記事を寄せてくれた増田もいた。ありがたい限り。
以下の本文は自戒を込めて元記事のままにしておくので、該当部分は「コイツ日本語読めてねーわ」と思って読んでほしい。
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2024年11月だけで、産科をとりまく嬉しくないニュースが続いてしまった。
・双子の出産時に医療事故・第2子に重い脳性まひ 「つがる総合病院」が責任を認め患者と家族に損害賠償金約9100万円を支払いへ 青森県
https://reiwa-kawaraban.com/politics/20241116/
市中病院で、帝王切開という形で産科医療に関与する麻酔科医の目線から上記のニュースを考えてみる。
【前提】
まず話の根底として、妊娠から出産の過程で低確率ながら母子の死亡が起こりえる。
厚労省のデータ(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001118039.pdf)によれば妊産婦の死亡事例は減少傾向にありつつも、令和3年で2.5/100000出産例とされる。(死亡の原因は様々だが、こちらのスライド(https://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/20211208_2.pdf)によると、「産科危機的出血」「脳出血」「羊水塞栓」で半分近くを占める)
平成12年には6.3であったというから、およそ20年で半減してきている計算で、これは原因の究明や対応できる組織構築を行った医療従事者や、薬剤や機材の開発・流通を整備する関連企業の不断の努力の賜物に違いない。
日進月歩の医学的取り組みをしてなお死亡率をゼロにできないものが妊娠と出産である、という点がまず客観的な事実として存在する。
経腟分娩でなく帝王切開を選択する理由について信頼できる統計データがネット上には見つけられなかったが、職務で見てきた中では「双子」「胎盤の位置異常」「前回が帝王切開=今回の分娩がハイリスク」「合併症(妊娠高血圧など)予防のためやむをえず」といった背景が多い。
胎盤の位置異常や帝王切開歴などは妊婦検診の過程で分かることであり、予め調整して計画的に帝王切開をすることで上記の出血などによる死亡例を防ぐことができる。
予定帝王切開の日程を定めていたとしても、まったく予期せぬタイミング(予定の数週間前など)で破水したり陣痛が始まってしまうことは日常茶飯事であるし、経腟分娩で予定されていたお産が胎児の心拍低下などで緊急に帝王切開となる事態もよくある。帝王切開ではないが、経腟分娩を終えたものの出血が止まらないため緊急手術になる事例も時折ある。
短く纏めるなら「妊産婦死亡を防ぐには帝王切開がどうしても必要な場合があり、そしてそれは緊急に起こりえる」となる。
では、緊急帝王切開が決まったとして、手術はどのように進むのだろうか。
緊急という言葉から一分一秒を争う事態を想像するかもしれないが、実は事情に応じてどの程度待てるか段階分けされている。
施設によって呼び方や規定時間はある程度幅があるものの、こちらの資料(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/42/1/42_57/_pdf/-char/ja)に示されるものが一つの指標になるだろう。
同日中に娩出すれば問題ないものは大きなトラブルになることはまずなく(見たことがない)、1-2時間以内に子供を出したいとなると手術室は忙しくなってくる。
そして、我々麻酔科医にとって最も恐ろしいものが、超緊急帝王切開、いわゆるGradeAの宣言だ。
資料中にもあるように、GradeAでは可及的速やかに胎児を出す必要があり、以前所属していた施設では「宣言から30分以内」を目標としていた。この30分という数字をどう受け取るかは人によって様々であろうが、手術室の動きと所要時間から考えてみたい。
帝王切開を全身麻酔で行う場合、手術室看護師は必要な器械(メス、各種鉗子、血液吸引機などなど)を準備し、麻酔科は麻酔器のセットアップや薬剤・器具の準備を大急ぎで進めていく。
麻酔器のセットアップを全くゼロから行う場合は、機種にもよるが10分近く時間をとられる。どんなに短くても3-5分という印象だ。
また、使用する薬剤の種類は通常の全身麻酔とあまり変わらないものの、一部の薬剤は鍵付きの金庫で保管されているため、鍵の持ち主である看護師に持ってきてもらう必要があるのだが、看護師も器械の準備に全力を注いでいるのですぐにとはいかない。
全ての薬剤を準備するのに(鍵を無視しても)最速でも2-3分。人工呼吸のための気管挿管デバイスを準備するのにもう1-2分。麻酔器のセットアップと並行で行えるので単純に足し算ではないが、これに移動時間、各所へ電話連絡の時間、薬剤と道具をかき集める時間を加味すると、連絡を受けて10分後に独力で全ての準備を整えられるかは分の悪い勝負になりがちだ。
マンパワーがあれば多少改善するものの、夜間や休日であれば人員は最低限に留められているため、素早いヘルプも期待できない。
大抵の場合、産科医も連絡をしてきた時点で手術室へ患者と向かっているので、慌てて手術室へ飛び込んだら患者が先に入室していた、ということも珍しくない。
全ての道具の準備を整え、産科医は滅菌ガウンと手袋を装着し(これにも1-2分はかかる)、全身麻酔をかけると同時に執刀を初めて数分後に胎児を体外へ出す。
言葉だけ並べると案外間に合いそうに見えるが、必要な検査結果を最低限確認したり、患者を手術台へ移動したりと無数の手順が間に挟まることで時間はどんどん圧迫され、時間が経過するごとに胎児(と場合によっては母体)の生命は目の前で消えようとしていく。
今まさに苦しむ母体と、見えないところで死に向かっていく胎児を目の前にして、正確に、安全に、迅速に全ての手順を協同して進めていく緊張感が伝わるだろうか。
そして上記の描写は、近隣でも有数の規模の病院で、スタッフの経験値と各種対策が練り上げられた環境でのものである。比較的規模の小さい病院では経験値やマニュアルも整備されておらず、これより時間がかかってしまうだろうことは想像に難くない。
【記事の内容について】
こういった現状を踏まえた上で双子の判決についての記事を読むと>> 10分以内に新生児を取り上げる超緊急帝王切開の体制が取られておらず、重大な障がいに至ったなどとする判断を受けました <<とある。
当時のつがる総合病院の体制がどのようなもので、どこまで準備できた時点から計測された制限時間かは調べた範囲で詳細不明であったが、全くゼロから始めたとすればまず不可能な時間であるし、ある程度準備が出来た状態(麻酔器はセットアップされていたなど)からでも厳しいだろう。
実際に病院側の落ち度があった可能性も無論あるが、ベストを尽くしても達成しうるか分からない「10分以内」という数字をどこからか持ち出してきて賠償を命じられるというのは、あまりに理不尽に感じられる。
10分以内に取り上げられたら後遺症を防げたか、あるいは程度が軽く済んだ可能性はもちろんあるが、それが現実に達成不可能な数値目標だとしたら、処罰の理由として据えられてはたまったものではない。
この記事から読み取れる法律サイドのスタンスは、「もっと安全対策をとるべきであった」とできるだろう。それが現実的なものかはさておいて。
これは厚生労働省保険局での話し合いであり、その結論の着地点は広い範囲に影響することが予想される。
産科医療を保険適用にした場合の問題点はそれだけで独立した論点になってしまうため割愛するが、記事がフォーカスしている井上弁護士の発言は以下である。
>> バランスを見ますと産科は医療安全にかなり前のめっていすぎるというふうに私自身は判断しまして(中略)結果が異常である可能性があるということで水準を簡単に上げすぎるために、産科の世界のバランスが他の診療科に比べて崩れているのではないかと(中略)医療安全、悪く言えば原理主義的になりすぎないように、ということを是非ご注意いただく <<
この発言に対して亀井氏が即座に怒りを感じさせるコメントを出しているが、むべなるかなと言わざるをえない。
関係各所が不断の努力を続けていても妊産婦死亡はゼロではなく、突然で理不尽な不幸に見舞われたご家族の悲哀を想像するだに辛い気持ちになる。
にも関わらず、どれだけ真摯に取り組んでも、双子の事例にもあるように時として理不尽な法的判断を下されうるのが現状の産科医療の実態だ。
無論この井上弁護士の見解が法曹会の総意でないことは理解しているし、記事の執筆者がやはり弁護士で非難的な論調であることからも間違いない。
とはいえ一部の弁護士(そしてそれ以外の人々)に、「産科医療は医療安全コストをかけすぎではないか」という見解を持っている人が相応にいるだろうことが推測される。
双子の記事と厚労省の記事は、個別に見るとかたや「医療安全をより追及せよ」であり、かたや「医療安全にコストを割きすぎではないか」という真逆の要求をつきつけている。
どうしろというのだ、という困惑から一歩引いて、何故このように食い違う見解が同一の業界から出てしまうのかを考えてみると、「妊娠・出産に対するリスクの軽視または無理解」が両者の根底にあるのではないかと個人的に考える。(業界が同じなだけで個人の思想が違うだけだろうという結論は一旦置く)
「出産は安全に済むものだから」という補助線を引くと、「(安全に済むものだからその水準を当然満たすべく)医療安全をより追及せよ」「(安全に済むものだからそんなにコストをかけなくても良いはずで)医療安全にコストを割きすぎではないか」というように、一見相反する見解が綺麗にまとまる。
本記事の冒頭に掲げた前提の「日進月歩の医学的取り組みをしてなお死亡率をゼロにできないものが妊娠と出産である」という事実が、過小評価されているかよく理解されていないことに原因があるのではないか、と考える次第である。
これはある意味仕方のないことで、実際に超緊急帝王切開に直接関わる産科医・麻酔科医・看護師でもなければ医療職であってもそのリアリティにはピンとこないはずなので、一概に無理解を批判することはナンセンスだ。
数字として見るデータは客観的な事実として揺るがないとしても、起きてしまった不幸とそれを防ぐための緊張感は、両方を目の当たりにして初めてリアルな根拠としてデータを活かす。
改善策としては実際の現場を映像と音声で記録して周知と理解を促す手段も思いつくが、倫理的な問題とマンパワー的な問題が立ちはだかる。この点は医療サイドで働きかける余地があるだろう。
【今後の影響に対する推測】
産科医療における有名な出来事としては2006年の大野病院事件があり、そのあらましと影響についてはこれまで散々議論されているので割愛する。
最終的に産科医は無罪を勝ち取ったものの、福島県内における産科医療への影響として、事件の前後で産科医が減少したという分析がある。(https://keizemi-keio.info//wp-content/uploads/2017/01/bessyo_mitaron.pdf)
産婦人科医会の調査(https://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2023/02/48dc1841822ac2ca56d3d7ee4b107c28.pdf)では総数としての産科医は2006年から2022年にかけて19%増えているとあるが、厚労省のデータ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/dl/R04_1gaikyo.pdf)から算出した同期間についての総医師数の伸び率が23%であることを合わせると、新たに産科医を志望する割合は減少していることが見て取れる。
産婦人科医会の資料中には産婦人科施設の推移も載っているが、婦人科病院が微増するものの一般病院と診療所が明らかに減っていることが分かる。
ハイリスクな妊娠と出産を高次機能病院で対応するために人員を集約することは理にかなっているものの、妊婦にとって移動はかなりの労力を伴うことから、集約によって移動距離が長くなることは身体的にも経済的にも負担が増す。
この推移に大野病院事件がどの程度影響したかは評価が難しいが、無関係でないことは明らかだ。
そういった過去の事例があった上に今回のような事例が積み重なると、施設の減少と人員の相対的な不足傾向が加速するリスクがある。
施設の減少は患者にとって負担であるし、人員の不足はスタッフの疲弊と患者のリスクを招く。
件のつがる総合病院で事態が起きたのは2017年ということだが、2024年現在も施設としては第二次救急医療機関の指定を受けており、日本産科婦人科学会専門医制度専攻医指導施設としての教育施設指定を受けている(https://www.tsgren.jp/tsugaru-general-hospital/hospital/situation.html)ことから、緊急帝王切開を含む産科医療を行っているものと推察される。
産科医療資源の集約を考えた際に集約される側ということになるが、その医療水準を支えるスタッフはHPによると産婦人科3名と麻酔科2名のみだ。
始めに述べた通り、帝王切開は通常の分娩でも突然発生しうるし、それは夜間も休日も関係が無い。
当番制でシフトを回すと考えても、麻酔科は2日に1回は夜間呼び出しに備える必要があるし、産婦人科も1人で手術はできないので同程度以上の体制をしいていると推測される。
この通りであれば当然スタッフは疲弊するし、疲れた状態での医療は危険を伴う(だからこそ働き方改革が叫ばれる)。そして、疲弊はさらなるスタッフの離脱と不足を招く。
事態が進んで最終的に誰が不利益を被るのかというと、分娩をしたい妊婦・胎児・家族に他ならない。
冒頭の記事にある判断と見解は、将来生まれてくる新生児の生命をリスクに晒すもので、人命と健康を至上とする立場からは許容できない。(そうでない立場の人からはそうでもない、という批判はありうる)
【まとめ】
本記事では2024年11月に公開された産科医療に関連する法的判断と見解について、産科医療に関与する麻酔科医の立場から考察した。
医療安全の推進と削減という矛盾するような見解が同一の業界から出てくることについて、「妊娠と出産が死亡リスクを伴う」という点の理解がされていないのではないかと仮定することで1つにまとめ、現状の問題の発生源を推察した。
GradeA帝王切開がいかに厳しい時間的制約のもとで行われるかや、妊婦と胎児に起きうる不幸について一概に法曹側の無理解を批判するものではないが、このような法的立場の判断と見解の影響が及びうる範囲を想定すると受け入れがたい。
現場をよく知る人々の意見が反映されることを祈りつつ、実際に1人の麻酔科医から見た現場がどういった物かを誰かに共有できればと思い本記事を作成した。