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2021-03-30

メイプルストーリーの思い出(追記)

小学生の頃、狂ったようにMMORPGで遊んでいた。

自分には所謂お金持ちの友人がいて、彼は自分専用のデスクトップを3台所有していた。

彼は自分を自宅に招き、そのPCであらゆるゲームを紹介してくれた。

ぱどタウンからまり(これはゲームではなかったが)、ハンゲームメイプルストーリー天上碑(だったと思う)、REDSTONEDJMAXなどなど。

その中でも彼はメイプルストーリーにハマっており、ジャブジャブ課金をしていた。

彼はどのゲームにおいてもゲーム内フレンドを作るのが怖いらしく、そこで「現実の友人をゲーム内に連れてきてフレンド登録しよう」と考えたそうで、それで選ばれたのが自分しかった。

自分は家にPCどころかインターネット回線もなく、フレンドというにはかなり心許ない気もしたのだが、彼は自分毎日自宅に招くことで解決を図った。

実際ゲームはどれも面白く、かなり不健康光景ではあったが、「友人宅で毎日PCに張り付き隣に座る友人とゲームチャットで会話をする」ということをかなり楽しく感じていた。

しかし、彼の一番熱の入っていたメイプルストーリーを進めるうちに、課金しまくっている彼とのレベル差や装備差がかなりある事が気になってしまった。

そこで自分祖父にねだってノートPCインターネット回線を用意してもらい、彼とは違うサーバーで新しくメイプルストーリーを始めた。

彼に言われるがままにスキルを上げ、モンスターを狩る生活から、なにもかも手探りで文字通り冒険する生活へとシフトチェンジしたのだ。

正直言って、彼と一緒にゲームをするよりもはるかに楽しかった。

自分ゲーム内で知らない誰かに声をかけてフレンドになることを特段苦痛に思わなかったので、積極的に声をかけてはフレンドを増やし、さまざまな狩場でさまざまなメンバーと一緒に遊んだ

その中のどこかのタイミングで、自分は柊シミヒロ(仮名)というプレイヤー出会った。

その隣には柊シミコ(仮名)というプレイヤーがいつもいて、2人はどうも姉弟しかった。

そしていつしかその柊姉弟と、あとアスタリック(仮名)というプレイヤー自分の4人だけで、メイプルストーリーは完結するようになっていた。

かいことはもう忘れたが、毎日他愛無い話をしながら狩場を巡り、ジョブチェンジする時もみんなでバランス良くなるよう話し合いをしながら慎重に決定した気がする。

そうして遊ぶうちに、自分は柊姉と文通をするようになった。

柊姉は受験が終わり無事志望した大学合格したことや、一人暮らしが始まることを、とても丁寧な細い字で記していた。

一方自分が何を書いたかは覚えていない。ただ、大学入学を目前にした彼女にとっては、小学生の書く手紙などとてもつまらなく稚拙な内容だったに違いない。

そのうち自分は別のゲームに移ってしまい、メイプルストーリーにはログインしなくなってしまった。それでも柊姉との文通は続いた。

しかしある日、彼女からの返事は来なくなってしまった。

きっと大学が忙しいんだろう、と思いそれ以上もう踏み込むことはなかった。

それから数年が過ぎ、自分MMORPGを完全に引退し、いつかの柊姉と同じように、志望する大学合格した。

その時ふと彼女や弟のことを思い出し、自分はそのハンドルネーム検索をしてみた。

当時のハンドルネームいつまでも使うとは思ってもいなかったので、なんの情報も出てこないことに特別落胆はしなかった。

けれどあれほどにまで熱中した日々がどこにも残っていない事にはすこし寂しさを感じて、検索結果をどこまでも潜っていった。

すると、柊弟と似た名前ユーザブログが見つかった。

記事は数年前に更新が止まっていたが、そこには家族が亡くなったことと、姉が精神的に参ってしまたことが書かれていた。

そして多分その記事投稿されたタイミングと、柊姉との文通の止まったタイミングも合っていた。

柊弟のブログだと確信した。

それ以上のアクションは何も起こしていない。

彼の捨てたブログコメントをするつもりは一切なかったし、彼女自分に伝えた住所に再び手紙を送るつもりもなかった。

名前を変え、インターネットから消えていった姉弟に縋り付くつもりもない。

けれど心のどこかでは、「20年近く前に遊んだ小学生が今もあなたたちのことを覚えていて、再び何かのきっかけで出会えて話ができたら嬉しいと思っている」ということを伝えたいと思っている。

そして姉弟過去にあったさまざまなことを乗り越えて、今元気でいてくれたら、もっと嬉しいと思っていることも伝えたいと思っている。

(追記)

コメントありがとうございます

お金持ちの友人は中学受験合格し、丁度柊姉と文通を始めたくらいのタイミング地元を離れていった。

何度か年賀状の交換はしたがあまり楽しそうな雰囲気は伺えなかったうえ、大学合格した頃、風の噂で彼がもうお金持ちの友人ではなくなってしまたことを耳にした。

アスタリックについては、彼も大切な思い出を構成するメンバーではあるものの、姉弟と比べあまり個人間でのエピソード存在しない。

というのも自分は当時柊弟に恋をしており、柊姉もそれとなく察して色々と配慮をしていてくれたため、彼と個で会話することは少なかった。

いただいたコメントを読み、再び柊弟のブログを探してみたものの、もうどこにもなかった。

また自分も度重なる引越しで当時やりとりしていた手紙を紛失していたようで、柊姉弟との繋がりは完全に途絶えていることがわかった。

それでもふと何かの拍子に彼女らのことを思い出して、連絡ができたらなと思うことがあるかもしれない。

そう考えると少し寂しくはあるが、でもそれで良かったのだと思う。

自分人生ドラマチックを求める材料彼女らを利用したくはないし、彼女らもきっとそれを求めていない。

 
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