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2021-03-28

【呉座騒動與那覇潤先生も「「誤読」ないし「意図的に歪曲」」してない?

呉座勇一氏のNHK大河ドラマ降板を憂う - 與那覇潤|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

話題のこれ。自分一般論部分には特に反論はないし具体論についても部分的同意するところはある。

まあその上で色々思うとこがある中で恐らく最もどうでも良さそうなところに噛み付くのだが。

元のツイート職業学歴など、本人の選択次第で「移動可能」な特性非難するのは差別ではない、とする(呉座氏以外の)主張に対して、そうしたロジックを認めれば「在日問題も『帰化しろ』で終了してしまう」と批判したものだ。

これの話って五野井DaDa論争のことだろうと思う。以下のTogetter見るに個人的には心底”Theネット”という感じで大変意義のない争いにしか見えんけど。

学者「ナチズムには差別が内在しているので表現の自由に値しない。共産主義?それは別」 - Togetter

けどこの與那覇先生の読解って正しいんですかね?当時のやり取りそのまま引用するとこういう感じで(敬称略)。

五野井「どの表現も加害となりうる。では表現一般ヘイトスピーチの違いは何か。それは後者差別煽動であり、それに踊らされた者らによって現在まで多くの人々が傷つき殺されてきた点だ。「私にはヘイトスピーチする自由がある」を「私には差別に基づく加害や殺人煽動する自由がある」に置き換えてみてくれ。」

DaDa「何言ってんだ、その言い分だと共産主義に踊らされた者らによって現在まで多くの人々が傷つき殺されてきたから、共産主義禁止もしくは監視あるいは一定制限の下にしか存在を許されない、なんて理屈が罷り通ることになる。」

五野井「わたし共産主義には微塵の魅力も感じないが、そもそも共産主義ヘイトスピーチと違って、人種差別が内在していないことは明らかだ。ナチズムが禁じられる理由は、まさに人種差別差別煽動が埋め込まれいるかである。「差別煽動」という術語をわざと外す暴論には感心しない。誠実な反論を望む。」

DaDa「あら、共産主義に内在的に埋め込まれている階級出自による煽動差別でないとは斬新な見解ですこと。」

五野井「人種差別の話をしているのになぜ階級の話になるのか。人種階級のように移動できるのだろうか。できないだろう。それをあえて比較対象とするのは不誠実だ。為にする批判ではなく、改めて誠実な議論を求める。」

DaDa「階級は移動できる問題ないって安直社会学者が言うの致命的な発言でなくって?」

五野井「人種って移動可能なのですね(笑)あなたは、人種は移動できるという想定を前提でわたし議論をふっかけてきたわけですが、まずはどうやったら人種が移動できるかを教えて下さい。なお階級は、容易ではありませんが移動可能ですよね。ライフピア大勢いるし。あと社会学者って誰のことかしらん?」

DaDa「人種は移動できるっていつ何処で誰が言ったんですかマイケル・ジャクソンですか?」

五野井「わたしが移動不可能人種差別問題にしているのに、あえて移動可能性のある階級問題とわざと等価にして食いついてきたのはあなただろう。ポップなネタに持ち込んで、ごまかそうとする悪いクセはやめなさい。不誠実な相対化で立論をしているかぎり、あなたには勝ち目はない。で、社会学者って誰よ?」

DaDa「だから人種階級絶対に優先だって学問定説あるんですかあ、差別に優劣ありってそれこそ差別的でしょう。あと社会学者だか政治学者だか人文学者だか知らんけど階級移動なんか些末なことって言い放てるなら社会問題コミットする立場として大問題に違いないと思いますよ。」

本当、意味のない議論だよ。このTogetterはてブが何で真面目に議論してるかも理解できんほど噛み合ってないやり取りなんだわ。

それはともかく、五野井先生は「職業学歴など、本人の選択次第で「移動可能」な特性非難するのは差別ではない」なんて言ってます?これ差別を論じるに人種階級は移動可能の可否に違いがあるから等価に扱えない”であって”移動可能属性なら差別ではない”ではないんじゃないかなあ。DaDa氏も借金玉氏も呉座先生も與那覇先生勘違いされてるようですが。いや、たぶんDaDa氏は他3人と違って最後最後で気付いたんでしょうね。だから最後に「人種階級絶対に優先だって学問定説あるんですかあ、差別に優劣ありってそれこそ差別的」と五野井先生階級差別存在否定していない可能性を認識したような反論をしている(反論として妥当とは言わないが)。

お嬢様自己実現なんて知らんがな」から女性自己実現否定している」という解釈ダメだと與那覇先生がおっしゃるなら、直接言ってもないことを実際にあった主張だと断定するのはギルティーでしょうとも。しかしまあ素晴らしい見識を備えた学者方がアルファツイッタラーが気付いていることにすら気付かないのはいかがなものか。それこそ「誤読」ないし「意図的に歪曲」と言われても仕方ないのでは。

実証的に文言を読み解けば不当だと論証できる非難」を傍観するべきでないということのようなので気になったところ指摘しておく次第。

蛇足

まあ、五野井先生もかなり微妙手法使ってて、例えば「共産主義には人種差別はない。ナチズムには人種差別差別煽動内包されている。差別煽動という術語を外すな」と言っていたのに階級差別の話を持ち出されたら「人種差別の話をしている」と言って差別煽動の部分を吹っ飛ばししまう。だから勘違いを引き起こすわけで…。もっと問題なのは五野井先生は当初の書き方だとヘイトスピーチについては差別煽動であることに重きを置いてたはずなんですね。それによって生じる被害害悪果たして「移動可能」か否かで変わるものなのか?差別を語るうえで属性の「移動可能性」に着目すること自体王道にしてもそことの論理的接続性は本当にあるのか。

ところがDaDa氏はそこを指摘するわけでもなく、何故か人種差別云々に乗っかってしかも「移動可能」とかいうそれを考慮すること自体は実はわりと妥当な部分に噛み付いて滅茶苦茶にするしなんなんでしょうねこれ。そもそもマルクス主義持ち出してきたのも大体イメージ人によって変わるとこだから困ったもんだなと思わないでもない。

それで言うとここには引用してないけど階級について「移動困難」だと五野井先生が認めているところがあって、むしろそっちの方が突っ込みどころでは?ヘイトスピーチ定義を調べた人は「変更不可能または困難な属性理由に~」みたいな文章たことあると思うんですよ。移動困難ならば移動不可能と同じカテゴリーではってことね。もちろん困難とはどういう意味でどの程度困難なのかって話がその次に待ってるんだろうけど…。

まあ今更どうでもいいね。語ってもしゃーなし。

移動可能というか変更可能/不可能考慮することはあるということを上で書いたので一応実例は出しておく。

まあわりと差別とかを考えたことある人には馴染みがある考え方の1つだと思うのだが、呉座先生(ともしかしたら與那覇潤先生)の反応見るにあまり知られてないのかな。

日本国籍は,我が国構成員としての資格であるとともに,我が国において基本的人権保障公的資格付与公的給付等を受ける上で意味を持つ重要法的地位でもある。一方,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは,子にとっては自らの意思努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄である。したがって,このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的理由があるか否かについては,慎重に検討することが必要である

――国籍法3条1項違憲最高裁判決2008年

上記制度の下で父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄理由としてその子不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利保障すべきであるという考えが確立されてきているものということができる。

――非嫡出子相続差別違憲最高裁判決2013年

もちろん変更可能か否かだけが全てじゃないしその種の別異取扱いは絶許みたいな0か100かって話ではないのだけれども。

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