もう10年は前になるだろう。
修学旅行を控えた高校生の私は、自宅のトイレでタンポンと対峙していた。
旅行と生理が重なりそうだと母親に相談したところ、用意してくれたのである。
説明を読んでタンポンを取り出し、当てがったところまでもよかった。
当時まだ生娘であった私は、タンポンを入れる穴の知識はありながらも、自分の身体の一部として実感したことはなかったのである。
ここに、ここに穴があるはず。
タンポンの先で股間を探り心持ち強く押してみるものの、なんだか痛いし、怖いし、本当にここに穴があるのか?
おそるおそる指先で触れてみるものの、それらしきものを見つけられない。
結局、場所がわからないから教えてくれ、なんて母親に言うこともできない私は、とぼとぼとリビングに戻り、
入らなかったわ、とだけ報告したのだった。
ありがたいことに母も特にその話題を続けず、私のタンポン初体験は終わった。
そうして月日が流れ、初めての彼氏ができた私。
ところが彼氏も女体について無知であり、穴を見つけられなかった。
仕方なく私は恥ずかしながらも、とある夜に鏡をのぞいて、穴と対峙したのであった。
よかった。私に穴はあった。
こんなことを思い出したのは、たった今私が初めてタンポンの挿入に成功したからだ。
アナルスティックのように、柔らかな素材で柔軟性があり、細くて、滑らかな形状で、 ローションをつければ挿入もスムーズにできる道具が10年前にあれば・・・