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2015-12-02

12月1日 PM10:36 父親だった人と

赤ちゃんの私と、赤ちゃんの私を抱えた母を、あなた人生から切り捨てた時、どういう気持ちだった? と父に聞いた。

父は、よく覚えていない、と濁した。

とにかく仕事大事だった、と呟くように言った。

私を父親のいない子どもにした人。


私が七つのときに、再婚したんだよね。子どもはできなかったって言ってたけど、できなかったってことは、作ろうとしたんだよね。

どういう心境の変化なの? と父に聞いた。

父は、どういうって何が、と聞き返した。

一度いらないと思った、妻と子どもが、もう一度欲しくなったのは何故? と、言葉を変えた。

父は、そうしたいと思える人が現れたからそうした、と迷わず答えた。

私の母をシングルマザーにした人。


父親のいない子どもの私は、

誰か知らない女の人の旦那さんと別れて、

シングルマザーの待つ家に帰る。


あなた人生に私は必要なかったのだろうけれど

私にはあなた必要だったよ。

多分、母も、あなた必要だったよ。

誰か知らない女の人に必要とされて、帰路につく大きな背中に、ぶつかって、弾けて、消える、子どもの私。

震えている。

みなしごのように。


シングルマザーの待つ家に帰れば温かなスープ茶色テディベア。父親だった人は私達を不幸にできなかった。

こうして今日まで生きている。からだは溌剌として未来を向いている。悲しいことなんかひとつもなかったみたいに。

父親のいない子どもは、父親だった人と、夫のいない妻のことを少しだけ忘れて、一人のにんげんになろうと決めた。

心に開いた風穴に吹き込む冬の始まり空気の、冴え冴えとした冷たさを感じながら。

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