クリーンで大きな流し撮り写真を撮ろう!
2008年12月09日 カメラ・写真
12月6日、JRAで600kgを超す巨漢馬クリーン号が勝利し、最高体重優勝の記録を更新しました(→重くても強い 602キロのクリーンが最重量V)。
というわけでクリーン号の勝利を記念して、今回はサラブレッドのクリーン号を被写体にした流し撮り撮影の解説です。流し撮りとは、「被写体を止まったように写しつつ、背景だけが流れるように撮影することでスピード感を出す」写真撮影テクニックのひとつです。うまく撮影すると、下の写真のようになります(画像クリックで拡大します)。
この写真は、巨漢馬クリーン号の馬体や鞍の「クリーン」の馬名はほとんどぶれずにしっかりと写っています。回転の速い、馬の脚はぶれて写っています(競馬関係者は、ぶれて完全に脚が消えてしまうと、「ゲンが悪い」と言って嫌がることもあります)。背景も横方向に流れてスピード感が出ています。これが流し撮りの写真です。
普通にシャッタースピードを速くして撮影しただけでは、馬も背景も止まって見えます。普通にシャッタースピードを遅くして撮影しただけでは、背景は止まってても走っている馬はぶれてしまいます。流し撮りは、動いている被写体だけを止めて写し、背景は流れるように写すことができるテクニックです。
今回は、この「流し撮り撮影テクニック」の解説をします。
というわけでクリーン号の勝利を記念して、今回はサラブレッドのクリーン号を被写体にした流し撮り撮影の解説です。流し撮りとは、「被写体を止まったように写しつつ、背景だけが流れるように撮影することでスピード感を出す」写真撮影テクニックのひとつです。うまく撮影すると、下の写真のようになります(画像クリックで拡大します)。
↑クリックで拡大↑ |
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この写真は、巨漢馬クリーン号の馬体や鞍の「クリーン」の馬名はほとんどぶれずにしっかりと写っています。回転の速い、馬の脚はぶれて写っています(競馬関係者は、ぶれて完全に脚が消えてしまうと、「ゲンが悪い」と言って嫌がることもあります)。背景も横方向に流れてスピード感が出ています。これが流し撮りの写真です。
普通にシャッタースピードを速くして撮影しただけでは、馬も背景も止まって見えます。普通にシャッタースピードを遅くして撮影しただけでは、背景は止まってても走っている馬はぶれてしまいます。流し撮りは、動いている被写体だけを止めて写し、背景は流れるように写すことができるテクニックです。
今回は、この「流し撮り撮影テクニック」の解説をします。
1.モードを設定する
流し撮りをするには、シャッタースピードを適切に設定することが必要になります。カメラのモードは、シャッタースピード優先モードが一番簡単です。ここで、シャッタースピードを1/10〜1/100秒程度に設定します。シャッタースピードは遅ければ遅いほどスピード感が出る反面、ぶれて撮影が難しくなります。シャッタースピードを速くしすぎてしまうと、今度は流し撮りのスピード感を演出できなくなります。
フレーム内における被写体の移動量も考慮しつつ、とりあえず1/40sくらいに設定しておきます。
シャッタースピード:1/40s、絞り:F6.3、ISO感度:200 |
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追加補足(主に一眼レフ向け):フォーカスについて。フォーカスは、あらかじめ被写体が来る場所の近くにピントリングを合わせておき(今回の場合は砂や柵の辺り)、被写体が来たらすぐにAFでピントが合うようにしておきます。AFモードは、コンティニュアスAFモード(AF-C)に設定し、フォーカスが被写体に追従するようにします。
うまい人になると、置きピンと呼ばれるテクニックを用いて、あらかじめ被写体が来る位置にピントを合わせておき、AFロックやマニュアルフォーカスで流し撮り撮影をしたりしています。
もっと被写体までの距離が近く、被写界深度が浅い写真を撮る場合には、フォーカス設定が重要になってきます。今回は被写界深度の深い写真を撮っているため、そこまでピントにシビアになる必要はありませんでした。
2.本番前に練習しておく
流し撮りは、いきなり本番で撮ろうとしてもうまくいきません。天候、被写体のスピード、画角、構図などによって、最適なシャッタースピードを調整しておく必要があるからです。たとえば競馬の場合は、レース前の返し馬で、馬の走っている姿を流し撮り撮影する、練習のチャンスがあります。なにごとも、本番前に練習しておくことが大切です。
下の写真では、シャッタースピードを1/40秒に設定した結果、「シャッタースピード:1/40s、絞り:F6.3、ISO感度:200」になりました。
シャッタースピード:1/40s、絞り:F6.3、ISO感度:200 |
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練習撮影で、スピード感が足りないと思ったらシャッタースピードを遅くします。ぶれすぎてうまく撮れないようなら、シャッタースピードを少し速くします。
3.チャンスが来たら、被写体の動きに合わせて連写
練習撮影がすんだら、本番に備えます。練習では1/40秒で少しスピード感が足りなかったので1/30秒に設定しました。流し撮りのチャンスである、レース最後の直線に入り被写体が近づいてきたら流し撮り開始です。被写体にフォーカスを合わせ、被写体と同じスピードでカメラを横方向に移動させます。
シャッタースピード:1/30s、絞り:F5.6、ISO感度:200 |
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撮影は連写モードに設定しておいて、ひたすら被写体と同じスピードでカメラを横方向に動かし続け、連写します。
シャッタースピード:1/30s、絞り:F5.6、ISO感度:200 |
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流し撮り撮影中、被写体の移動方向と違う方向にカメラを動かしてしまうと、被写体もぶれてしまい、クリーンな写真が撮れなくなってしまいます。被写体よりも早くカメラを動かしてしまったり、被写体よりも遅くカメラを動かしてしまったりしても、クリーンな写真は撮れません。しっかりとカメラを構え、滑らかに腰を回しながら、被写体と同じスピードで動かし続けて連写します。
上の写真は、その上の写真から1/30秒後の世界です。ジョッキーがムチを振り上げる瞬間と、ムチを振り下ろした瞬間が連続で撮影できています。
4.トリミングすればダイナミックな写真に
流し撮り撮影をしているときは、細かい構図にまでは気を回せないかもしれません。何よりも、1度限りのチャンスをしっかりと捉えないといけませんから、構図よりも、正確に写すことの方が求められます。高画素(1000万画素くらい)のデジタルカメラであれば、あとからトリミングすることでダイナミックな写真に仕上げることが可能です。下の写真は、2枚上の写真をトリミングして構図を変更したものです。
シャッタースピード:1/30s、絞り:F5.6、ISO感度:200 |
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これくらいのサイズでの利用であれば、トリミングをしてもたいして写真は劣化しません。デジタルの利点を活かして、あとからトリミングすればダイナミックで大きな写真になります。
5.失敗を恐れず撮り続ける
そうは言っても、流し撮りはなかなか難しいテクニックです。被写体との距離が変われば、フレーム内の被写体の移動距離も変わり、ぶれる度合いも変わってきます。サラブレッドの場合は、横方向だけではなく上下にも馬体が動いていますから、完璧に止めて写すのは難しくなります。それでも、失敗を恐れず撮り続けることが大切です。そういうぶれ具合も、スピード感の演出につながることがあります。シャッタースピード:1/30s、絞り:F5.6、ISO感度:200 |
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上の写真は、東京競馬場のスクリーン前を通過している瞬間です。撮影場所からは、一番正面に当たる場所です。
そして下の写真は、クリーン号が完全に抜け出し、これからゴールへ飛び込もうとしている瞬間です。
シャッタースピード:1/30s、絞り:F5.6、ISO感度:200 |
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この日、クリーン号は4勝目を上げ(2008年4回東京8日目12R 河口湖特別)、それから約1ヶ月後のレースで馬体重602kgで勝利のJRA新記録を出しました。大きな大きなクリーン号です。
流し撮り撮影をするときは、被写体をしっかり捉えて写しきることが重要です。撮影のチャンスは1度限りですから、失敗は許されません。
今回の場合であれば、被写体である「クリーン号を狙う」と決めたときから撮影は始まっています。本番に備え、カメラの設定と練習をこなしておきます。本番では失敗を恐れず、大胆に連写を続けます。撮影後は、うまく撮れた写真を選び、トリミングなどの調整をして仕上げます。こうすることで、クリーンで大きな流し撮り写真を撮ることができます。
さぁ、みなさんも「Let's 流し撮り!」。