2009年4月20日(現地時間),米Oracleが米Sun Microsystemsを買収することで両社が合意した(関連記事)。買収により,データベース専用機という形でハードウエアに進出(関連記事)していたOracleはSunのサーバーとストレージ,約4万7000社というユーザーベースを手にする。
さらに,OracleはSunの持つGlassFishなどのミドルウエア群も手にすることになる。中でも注目されているのが,2008年にSunが買収したMySQLである(関連記事)。データベース最大手のOracleにとって,オープンソースのMySQLは事実上最大の競合製品であるからだ。
Oracleは2006年にMySQLの買収に失敗
Oracleは3年前の2006年にMySQLの買収を試みて失敗している(関連記事)。米メディアの報道によればMySQLはOracleの買収提案を拒否。OracleはMySQLが標準的に使用していたオープンソースのストレージ・エンジンInnoDBの開発元Innobaseと,同じく標準的なオープンソース・エンジンであるBerkeley DBの開発元米Sleepycat Softwareを買収。そのためMySQLは独自ストレージ・エンジンの開発に着手したという経緯がある。
2008年にSunがMySQLを買収した際の値段は10億ドル。今回,Oracleは76億ドルでSunを買収した。経済状況の違いはあるものの,MySQLがSunの中で占める価値は決して小さくない。
「MySQLはデータベース製品群のひとつに」
Oracleは「Sunの顧客の投資を保護する」と述べ,「MySQLは,既存のOracle 11g,InnoDBやBerkley DB,オンメモリーDBのTimesTenなどと同様,Oracleのデータベース製品群のひとつとなる」としている。MySQLはハイエンド製品であるOracle 11gと住み分ける,中~下位の製品として位置付けていくものと見られる。
Oracleのこの方針は,MySQL自体の機能向上にとっては足かせとなりかねない。オープンソース・ソフトウエアであるMySQLは,誰でもそのソースコードを入手し改良できる。そのため場合によってはOracle版MySQLと,コミュニティなどが開発するMySQLに分裂する可能性すらある。今後OracleがMySQLに対してとる実際の行動がどのようなものになるのか,世界中のMySQLユーザーが注視している。
第2段落でGalssfishとしていましたが,正しくはGlassFishです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/04/21 10:39]