日立マクセルは、放送業務などの大容量データ保存に向けた2種類の光ディスクを、千葉市の幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2006」で参考出展している。1枚当たりの容量が300GBと大きい「ホログラムディスク」と、厚さが0.092mmと薄い「SVOD」で、いずれも2007年の製品化を目指す。
ホログラムディスクとは、同じ波長の2種類のレーザー光を、異なる角度からディスクの同一地点に向けて照射することでデータを記録するもの。2方向からの光がディスク内で重なり合うと、角度に応じた干渉パターンが形成される。角度を変えることで干渉パターンも変化するため、この性質を利用してディスクにデータを記録できる。数メガビット単位のデータをまとめて「ページデータ」とし、このページデータ単位で書き込んでいくため、記録密度が高く、記録や再生の速度も速い。
同社が現在開発中のホログラムディスクは、5.25インチのカートリッジに納まった130mm径のメディア1枚で300GBの記録容量を確保しており、データ転送速度は160Mbpsとなっている。米インフェーズ・テクノロジーズと日立マクセルが共同開発している。会場では、ホログラムディスクの試作品とカートリッジを展示していた。
一方、SVODは、DVDやBlu-ray Disc(BD)と同様の記録層を形成した光ディスクで、指で簡単に曲げられるほどの薄さである(Tech-On! 関連記事)。記録容量もDVDやBDと同一で、1枚当たり最大9.4GB(DVD準拠時)または50GB(BD準拠時)となる。DVDやBDはカバー層を含め厚さ1.2mmだが、SVODはこのカバー層を極めて薄くすることで、数百枚~数万枚と大量のディスクを保存する場合にスペースを減らすことを図っている。
ドライブで読み書きする際は、微細な穴の空いたガラス製のスタビライザーをSVODに重ね合わせる仕組み。これにより焦点距離を補正することで、通常のDVDドライブやBDドライブの光学機構を転用でき、また回転時のディスクのゆがみを軽減できる。機器収容で一般的な19インチラックに搭載してライブラリを作成すれば、1基で最大2PB(ペタバイト)まで拡張可能という。会場では、100枚のSVODを収納した940GBと5TBのカートリッジと、SVODドライブの試作品を展示した。
同社では、ランダムアクセスが可能で、かつ大容量のデータ保存が可能な記録媒体として、こうした大容量の光ディスクの需要があるとみており、放送業界や官公庁、金融機関、医療機関などへ向けて展開することを考えている。