「WAFS」と呼ばれる製品が続々登場している。これらは,WANを介したファイル・アクセスを高速化する装置である。CIFSやNFSでのファイル・アクセスは,WANを介すと遅くなり,帯域を広げても高速化しないという。WAFSはキャッシュや差分転送などにより,こうした課題を解決する。
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WAFS装置が登場する背景には,情報漏えい対策がある。個人情報などの重要な情報のアクセス管理をきちんと実施するためにファイル・サーバーを統合しようという機運が高まっており,そうした環境を構築するとWANを介してファイル・サーバーにアクセスすることが多くなる。
ところが「(ファイル・アクセスに使う)CIFSやNFSはLANを前提としたプロトコルで,WANに適していない。遅延の大きいネットワーク環境では,帯域を広くしてもファイル・アクセスの速度は向上しない」(日本ダイレックス 豊川浩平氏)という。こうしたWAN越しの性能問題を解消するために,WAFS装置が登場してきた。
WAFS装置は各拠点に配置して使う。多くのWAFS装置はPCからファイル・サーバーに見え,ファイル・サーバーのプロキシのように振る舞う。CIFSがWANで遅くなる理由の一つはPCとファイル・サーバー間のメッセージが多いからであり,WAFS装置はキャッシュを持つなどしてWAN越しの転送メッセージを削減し,アクセス速度の向上を図っている(図1[拡大表示])。シスコシステムズによれば,WAFS装置の導入で4~9倍の性能向上が見込め,LAN並みの速度になるという。
拠点のWAFS装置に最新のファイルがキャッシュされていれば,WANを介してファイルを転送する必要がなく,WAN間の転送メッセージは大幅に削減される。製品によっては,キャッシュ中のファイルが最新でなければ差分情報だけを転送できる。
また,拠点にキャッシュされていない場合であっても,圧縮してデータを送ったり,WANに適した独自プロトコルを用いたりして速度の向上を図っている。拠点のPCでファイルを更新する場合,差分情報だけを送信するので転送メッセージが少なくなる。