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 2024年の2月29日、新潟県警察・神奈川県警察・岡山県警察・愛媛県警察が運営する運転免許センターでシステム障害が発生し、運転免許証の更新や新規取得の手続きを中止した。うるう年による障害だ。

 4県警への取材で、障害によって当日運転免許センターで免許証を受け取れなかったとみられる人は合計で約800人に上ることが分かった。しかし、影響はさらに大きい。神奈川県警では運転免許センターの最寄りである相模鉄道の二俣川駅に、免許証を当日交付できないと掲示した。同県警は掲示によって約100人が運転免許センターを訪れなかったと見積もっている。一連の障害はテレビニュースで大きく取り上げられ、X(旧Twitter)などのSNSでも周知が進んだため、影響は1000人規模になるだろう。

 4県警は、運転免許センターの障害原因について、「免許証を作成する機器の不具合」だと回答した。さらに取材を進めていくと、いずれの運転免許センターも同じ問題を抱えた免許作成機を使用していた可能性が高いことが分かった。

免許証の郵送や有効期間延長で対処

 新潟県警の運転免許センターでは2024年2月29日午前8時15分ごろ、免許証を作成できない不具合が発生した。同日午前9時10分過ぎには、システム復旧のめどが立たないことから、免許更新の受付を一旦停止した。

運転免許センターで発生したシステム障害
運転免許センターで発生したシステム障害
(出所:日経クロステック)
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 同様の障害は、神奈川県警・岡山県警・愛媛県警の運転免許センターでもほぼ同時刻に発生した。各運転免許センターでは、免許証の更新や取得で来訪した人たちに免許証を作成できないと案内し、免許証を後日自宅に郵送するなどの処置を講じた。岡山県警では、免許証の更新者には免許証の裏面に公安委員会の判を押し、免許更新中と記載して有効期間を延ばしたという。

 4県警は障害について、「免許作成機で不具合が発生し、免許証を作成できなくなった」と回答した。その原因について、神奈川県警と新潟県警は「免許作成機のプログラムにおいて、うるう年を西暦で設定すべきところを和暦に設定していたため」と説明した。本来であれば2月29日がある年を、2024年、2028年と設定すべきところを(令和)6年、10年と設定したのだろう。

 今回の障害を受けて、新潟県警や愛媛県警は「プログラムの改修を実施するほか、今後もシステムの保守管理を委託している業者と緊密に意思疎通を図り、再発防止に努める」と回答している。