個人情報保護委員会は2022年11月2日、破産者情報を掲載しているWebサイトに対して、同日付で個人情報保護法に基づく停止命令を出したと発表した。
同事業者は、2009年から2021年の間官報に掲載された破産者の氏名や住所などの個人データ100万件以上を、インターネット上に公開されている地図データとひもづけられる形で表示し掲載。個人データを削除するには、1件当たり6万円か12万円に相当する金額を暗号資産で支払うように求めている。
同委員会では、「違法又は不当な行為を助長し、または誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない」とする個人情報保護法第19条に違反するとした。第19条は2022年4月に施行された改正個人情報保護法で新たに追加され、今回同委員会は初めてこの条項に基づいた勧告、命令を行った。
他に「個人情報の取得後速やかにその利用目的が本人に通知または公表されていないこと」「本人の同意を得ないで個人データを第三者提供していること」も同法違反とした。
命令では、Webサイトを通じた個人データの提供を直ちに停止することを求めた。同委員会は2022年7月、同事業者に対して個人データ提供停止の勧告、報告徴収を行ったが、対応が取られなかったとして今回の命令に踏み切った。命令への対応期限は、2022年12月15日。同委員会では、刑事告発の手続きを進めているとしている。
2022年3月下旬、同委員会は検索サイトなどの結果からこのWebサイトの存在を確認。2022年3月から10月末までに、このサイトへの掲載の苦情や対応を求める相談など400件以上が同委員会に寄せられた。
同委員会が個人情報保護法に基づく命令を行うのは今回が4回目。過去の3回も同様に破産者情報をWebサイトに掲載している事業者が対象だった。