これを聞いて「よっしゃー!」とガッツポーズを取っている酒好きは多いはず。確かに私自身ここ数年、風邪をひいたことがない。真冬に泥酔して玄関のたたきで明け方まで寝ていたこともあるが、風邪をひくことはなかった。やはりこれは酒の効力なのか? 実はそれを裏付けるデータがいくつか存在する。
海外ではイギリスとスペインにおいて「飲酒量が多い人ほど、風邪の発症率が低い」ことを裏付けるデータがある。国内では東北大学が行った大がかりな調査研究「仙台卸商研究」によって、「毎日お酒を飲む人ほど風邪をひきにくい」という驚くべき結果が得られているのだ。「仙台卸商研究」は899人の中年勤労者が対象。過去1年間に渡る風邪の罹患の有無と、生活習慣を調査したコホート研究(分析疫学における手法の1つ)なだけに、この結果は素直に受け取っていいだろう。
実験に参加した被験者が飲んでいたのは、海外は赤ワイン、国内はビールや焼酎がメインだったそう。製法、原料ともに違う3種に共通するのは「アルコール」である。
アルコールの効用と言えば、血管拡張・血流促進にともなう体温の上昇。医師によると、体温の上昇によって風邪に関与するライノウイルスの増殖が抑制されているのではないか?と推測されている。あくまでも推測だが、体感として合点がいく。ただし風邪をひきにくくなるからといって、必要以上に酒を飲むのは逆効果。なぜなら、免疫が落ちるからだ。これについては次週以降に言及するので、今回はこのくらいにしておこう。
まさに今が、風邪やインフルエンザが大流行する季節。酒はマスクや手洗い以上に風邪を防ぐことができるのか? 自身のカラダを使って実験して欲しい。