旧統一教会の問題を巡り、宗教法人法による解散命令が取り沙汰されている。過去に命令を受けた法人は二つ。オウム真理教と、詐欺事件で問題になった明覚寺だ。その明覚寺の関連施設が茨城県大子町にあると聞き、訪ねてみた。人里離れた山の中で出合ったのは−。(加藤裕治)
二車線あった山道は、カーブを曲がるたびに細くなり、ついに車一台でぎりぎりの幅になった。もうここまで。山頂にあったツツジ園の駐車場に車を止め、落ち葉が覆う道を徒歩で上ったり下ったりすること十五分。屋根が落ち、鉄骨がむき出しになった建物の横に立った。荒れ果てた様子に「破(や)れ寺」という言葉が頭に浮かんだ。
ここが本覚寺。「取り付いた霊を供養しなければ」と不安をあおり、巨額の金を集めた「霊視商法」の舞台になった寺院だ。返還を求める訴訟が相次ぐと、寺の関係者らは和歌山県の明覚寺を買収して同様の活動を続けた。その後、詐欺の刑事事件に発展し、二〇〇二年に解散を命じられた。
こんな経緯から「詐欺寺(さぎでら)」と身もふたもない呼び方をする人もいる。
登記で確認できた建物は二つ。平屋の拝殿と二階建ての信者修業所だ。だが、見た感じでは建物が四つある。そのうち、屋根が落ちた建物が最も大きい。コンクリートの壁が残り、周囲には黒く焦げた木材が散乱。中には屋根...
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