【F-8】(えふはち)
Chance Vought F-8 Crusader(クルセイダー)
アメリカのチャンスボート社が開発した艦上戦闘機。旧称F8U。
それまでの艦上機が陸上機に比べて大幅に劣っていたこともあり、アメリカ海軍初の「実用」超音速戦闘機と呼ばれる。
最大の特徴は主翼の取り付け角が胴体に対して可変式であることで、低速時に機首を上げなくても大きな迎え角をとることができる。
これは前任のF7Uにおいて、低速時の迎え角が極端に大きく事故を多発したことの反省によると思われる。
ただしF7Uの問題は水平尾翼を省略するという奇抜な設計が原因であり、本機を基にした攻撃機のA-7ではこの取り付け角可変機構が省略されていることから、過剰な機能とも言われている。
本機の後継となったF-4がミサイリアーであったことから、「最後のガンファイター」とあだ名された。
ただし、本機に搭載されている機関砲「コルトMk.12」は、弾倉の配置及び給弾器の設計不良により、3G以上の環境下における発射は故障に直結した。
ベトナム戦争では機関砲単体による撃墜記録はなく、牽制などの補助的な使い方をされたといわれる。
一時期は「陸上機を超える艦上機は零戦とクルセイダーだけ」といわれたほど、高い運動性を誇った。
アメリカ海軍でエセックス級の艦載機としてベトナム戦争中に活躍したほか、フランス海軍ではラファールが就役するまでの長い間、空母「クレマンソー」の艦上戦闘機として活躍した。
また、フィリピン空軍においてもアメリカ海軍払い下げの機体が使用された。
偵察機型のRF-8も存在し、F-14用の偵察ポッドやRF-18が充足するまで運用された。
また、NASAではスーパークリティカル翼やデジタル式フライバイワイヤーの実験機として用いられた。
AIM-7運用能力を持つXF8U-3「クルセイダー3」も試作されたが、搭載能力に余裕がなかったためF4H-1との競争試作に敗れた。
関連:A-7 トンキン湾事件 キューバ危機
スペックデータ
乗員 | 1名 |
全長 | 16.61m |
全高 | 4.80m |
全幅 | 10.87m/6.86m(主翼折り畳み時) |
主翼面積 | 35.52㎡ |
空虚重量 | 9,038kg |
離陸重量 (通常/最大) | 12,701kg/15,400kg |
エンジン | P&W J57-P-20ターボジェット(推力48.1kN/80.4kN(A/B使用))×1基 |
最高速度 (最高/最大水平/巡航) | マッハ1.8/986kt/486kt |
海面上昇率 | 6,400m/min |
実用上昇限度 | 17,700m |
フェリー航続距離 | 1,216nm |
戦闘行動半径 | 521nm |
固定武装 | コルトMk.12 20mm機関砲×4門 |
兵装 | 翼下2ヶ所のハードポイントに下記兵装を搭載可能。 ・空対空ミサイル:AIM-9、R-550、R-530 ・空対地ミサイル:AGM-12「ブルパップ」 ・爆弾・ロケット弾など: ズーニー・ロケット弾ポッド、Mk.80シリーズ(250lb・500lb・1000lb・2000lb) |
バリエーション(カッコ内は旧称)
- XF-8A(XF8U-1):
試作機。
- YF-8A(YF8U-1):
A型が開発試験に使用された時の呼称。
- F-8A(F8U-1):
初期生産型で昼間戦闘機型。311機生産。
- YF-8B(YF8U-1E):
F-8Bの原型機。
- F-8B(F8U-1E):
APS-67レーダーを装備する限定全天候能力改良型。130機生産。
- XF-8C(YF8U-2):
A型のエンジンを換装した改良型原型機。
- F-8C(F8U-2):
エンジンをJ57-P-16に換装し、ベントラルフィンを追加した型。187機生産。
- YF-8D(YF8U-2N):
F-8Dの原型機。
- F-8D(F8U-2N):
エンジンをJ57-P-20に換装し、FCSをAWG-4に更新した型。
AGM-122「SARHM」対レーダーミサイルの運用能力を獲得した。152機生産。
- F-8E(F8U-2NE):
レーダー換装や翼下のハードポイントの追加などの改修を行った型。
- F-8H:
D型よりの改装を行った型。89機改装。
一部はフィリピンに輸出された(F-8Pとも呼ばれる)。
- F-8J:
E型よりの改装を行った型。
F-8E(FN)の経験を還元。136機改装。
- F-8K:
C型よりの改装を行った型。
- F-8L:
B型よりの改装を行った型。
- YRF-8A(YF8U-1P):
RF-8Aの原型機。
- RF-8A(F8U-1P):
機首の機関砲を撤去し、5基のカメラを搭載した偵察機型。144機製造。
- RF-8G
RF-8Aよりの改装を行った型。73機改改装。
- DF-8A(F8U-1D):
RGM-6「レギュラス」潜水艦発射型戦術巡航ミサイルの誘導母機及び無人機指令母機。20機改装。
- DF-8F:
DF-8Aの性能向上型。
- F-8E(FN):
フランス海軍向けのE型。42機が製造された。90年代には電子機器を更新している。
ラファールへの更新が進み、2000年に退役。
- QF-8A(F8U-1KD):
A型を無人標的機に改装した型。
- F8U-3「クルセイダー3」:
全天候戦闘機化計画に基づき、エンジンをJ75-P-6に換装、折畳式ベントラルフィンの追加など、胴体をほぼ全面的に再設計した発展型。5機のみ完成。
より大型のF4Hとの競争試作に敗れ米海軍には不採用になったが、NASAの高速試験機として運用された。
実際には表皮温度制限から実現しなかったものの、低抵抗と高推力重量比によってマッハ2.9級の速力を出すポテンシャルを有していた。
- V-1000:
J79エンジンを搭載するF-8の改良型。
1970年のアメリカ空軍による海外供与機の審査に応募した機体。
性能面では高く評価されたが、コストの面でノースロップ案のF-5E/Fに敗れた。
- F-8SCW:
NASAのスーパークリティカル翼実用試験機。
- F-8DFBW:
NASAのデジタルフライ・バイ・ワイヤ実用試験機。
F8
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/19 05:59 UTC 版)
F8, F-8
F8
- ファンクションキーの一つ。
- 水平対向8気筒の略。
- フェアチャイルド F8 - 8ビットマイクロプロセッサ。
- フィッティパルディ・F8 - フォーミュラ1カーの一つ。
- グラマン F8F - アメリカ海軍の戦闘機。
- WILLER TRAINS(京都丹後鉄道)宮福線大江高校前駅の駅ナンバリング。
F-8
- デ・ハビラント F-8 - アメリカ陸軍航空隊の写真偵察機、イギリス製デ・ハビランド モスキートのアメリカ陸軍名。
- グラマン F8F (航空機) - アメリカ海軍の戦闘機。
- ヴォート F-8 - アメリカ海軍の戦闘機。
- 瀋陽 F-8 - 中華人民共和国の航空機、J-8の輸出名。
- 瀋陽 F-8II - 中華人民共和国の航空機、J-8IIの輸出名。
関連項目
F8
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 00:42 UTC 版)
「フィッティパルディ・F8」の記事における「F8」の解説
シーズン当初は前年まで参戦していたウォルター・ウルフ・レーシングのマシン・ウルフWR9の改良型F7を使用し、エマーソン・フィッティパルディが第4戦西アメリカグランプリ、ケケ・ロズベルグが開幕戦アルゼンチングランプリで3位表彰台を獲得するが、第9戦西ドイツグランプリにて新車F8を投入してからはすでに勢いが下降しており、第12戦イタリアグランプリでロズベルグの5位入賞以外目立った成績を残せなかった。
※この「F8」の解説は、「フィッティパルディ・F8」の解説の一部です。
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