F-5E/F
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1960年代後半に入ると、ソビエト連邦はMiG-21を中小国空軍向けにも輸出し始めた。MiG-21は簡易ながらレーダーを装備しており、レーダーを持たず目視で戦闘を行うF-5A/Bでは対抗が困難になりつつあり、エンジンパワーも劣っていた。そのためアメリカ国防省では、F-5A/Bに代わる新たな供与戦闘機の比較審査を1970年に呼びかけた。 比較審査にはロッキードCL-1200、チャンスボートV-1000、F-4の簡易型など各メーカーによる提案があったが、アメリカ空軍はノースロップの提案したF-5-21案を採用しF-5Eと命名、1974年から配備を開始した。 F-5E/Fは、基本的にF-5A/Bの改良型であるが、 エンジンを強化 F-5Aでは皆無であったレーダー類を追加 CF-5やNF-5で採用された空戦フラップや2段伸縮式前脚の採用 などが行われ、F-5Aより横幅が多少広くなっている。搭載されたAN/APQ-153 レーダーは機能が限定的で目標追尾機能を持たず、射程の長いAIM-7は運用できない。それでもレーダー未搭載のA/B型に比べれば格段の進歩であり、MiG-21を仮想敵とするには必要にして十分と割り切られた。オプションで空中受油プローブや慣性航法装置などを装備可能な他、後期生産型の一部には、F-20で採用されたシャークノーズ(Shark Nose)や大型ストレーキが取り入れられており、機動性が向上している。 当初、F-5Eのパイロット訓練にはF-5Bが使用されていたが、性能差が大きいこと、そしてレーダー操作の訓練が必要という点から専用の複座練習機型F-5Fが開発された。F-5Fは機関砲を装備しないF-5Bと異なり、機関砲(搭載数は1門に減少)やレーダーを残し、燃料搭載量もF-5Eと同様にした。このため、機首が107cm延長されている。 その一方、F-5の得意分野といえる利便性や経済性も受け継がれ、F-5A/Bを運用していた国の他にも、メキシコやホンジュラスなどがF-5E/Fを採用した。また、スイスと韓国、台湾ではライセンス生産が行われた。既に旧式化した現在でも途上国を中心とした多くの国で現役にあり、大規模な近代化改修を施して引き続き運用している国もある。 アメリカ空軍・海軍・海兵隊は、ベトナム戦争の終結に伴い南ベトナムへの供与が間に合わなかった機体を大量に引き取り、抜群の運動性能と類似する機体サイズから、トップガンなどの空戦訓練教程での仮想MiG-21あるいは汎用の仮想敵機として長く使用した。空軍では既に退役しているが、海軍・海兵隊では現在も運用中である。特に海軍は既存のF-5Eの更新用としてスイスで退役したF-5Eを購入し、再生および改造を施したうえでF-5Nとして再就役させている。 実戦ではイラン・イラク戦争でイランが、西サハラ紛争でモロッコが対地攻撃に使用した。前述のオガデン戦争ではエチオピアのF-5Eがソマリア空軍のMiG-15などの撃墜を記録している。また、湾岸戦争にはサウジアラビアとバーレーンの機体が参戦した。韓国の機体は麗水潜水艇撃沈事件の際に出撃し、機銃掃射で北朝鮮の半潜水艇の無力化・鹵獲を試みたが、夜間に照明弾支援を受けながら行ったものであったため失敗し、半潜水艇は海軍のコルベットにより撃沈された。
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