違法素数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 02:01 UTC 版)
違法素数(いほうそすう/英: illegal prime)とは、素数のうち、違法となるような情報やコンピュータプログラムを含む数字。違法数の一種である。
2001年、違法素数の1つが発見された。この数はある規則に従って変換すると、DVDのデジタル著作権管理を回避するコンピュータプログラムとして実行可能であり、そのプログラムはアメリカ合衆国のデジタルミレニアム著作権法で違法とされている[1]。
経緯
1999年、ヨン・レック・ヨハンセンはDVDのコピーガード (Content Scramble System; CSS)を破るコンピュータプログラム「DeCSS」を発表した。ところが2001年5月30日、アメリカ合衆国の裁判所は、このプログラムの使用を違法としただけではなく、ソースコードの公表も違法であると判断した[2]。この判断が言論の自由に反するとして、いろいろな形で抗議活動が行われた[3]。
フィル・カーモディ (Phil Carmody)は、DeCSSのソースコードを数値化し、「これはコンピュータプログラムではなく、数学的な意味を持つ単なる数字である」として、十進数で表したものをTシャツプリントなどの形で印刷配布することを思いついた。テネシー大学マーティン校の研究者が管理する素数データベースPrime Pagesは、特殊な性質を持つ素数のトップ20を収録している。カーモディは、DeCSSプログラムに対して、Prime Pagesに収録されるような意味づけができれば、合法的に公開が可能であると考えた。
DeCSSプログラムそのものは「素数」ではなかった。そこでカーモディは、DeCSSの暗号化アルゴリズムを記述したC言語のソースコードを、圧縮ファイルに変換し、それを整数として解釈することで素数を作りだすことを検討した。カーモディは圧縮プログラムにgzipを選び、圧縮ファイルに元のファイルが生成されるような無駄な情報(ヌル文字)を付け加え、それに算術級数定理を適用して素数を探した。つまり、圧縮ファイルを整数として解釈したものを
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