精留
【英】: rectification, fractionation
同義語: fractionation
ただ 1 回の加熱によって多数回の分縮と再蒸留を繰り返す蒸留操作で、精留塔、加熱炉(または加熱器)および凝縮器より成る装置が用いられる。精留塔内部には、多数の蒸留段(トレイ)があり、各段上で気液の接触が行われ、上昇蒸気と段上液との間で上昇蒸気中の重質留分の凝縮、段上液中の軽質留分の再蒸発が起こり、各段がそれぞれ単純蒸留釜の役目を果たしている。この精留操作により、各種炭化水素類の混合物である石油類を、沸点範囲に従って塔頂からは最も軽質な留分が抜き出せる。また、必要に応じて塔の中間段から中質留分を抜き出すことができる。常圧蒸留装置、減圧蒸留装置などの蒸留を専門とする装置のほか、その他多くのプロセスで、この操作が応用されており、石油精製工業において最も基本的な単位操作の一つである。 |
精留
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 03:14 UTC 版)
蒸留により成分を精製する操作は精留(せいりゅう、英: rectification)と呼ばれる。多くの場合、精留を目的に蒸留操作がなされるため、広くは蒸留と同義である。石油精製のための精留を特に分留(ぶんりゅう、英: fractional distillation)と呼ぶ。 精留を行うには、蒸留装置の塔部で凝縮液と蒸気とを向流接触させる必要がある。この際、凝縮熱により液の蒸発と分縮が繰り返されることで成分の濃縮が行われる。(記事 気液平衡に詳しい) 実際の蒸留では、ビグリューカラムなど、蒸留塔と呼ばれる装置を使用することも多い。蒸留塔は上記の蒸発-凝縮の平衡状態が多段階で進行するように設計されており、凝縮と蒸発を繰り返すうちに蒸気の組成比が変化し、特定成分の濃縮が進行するようになっている。 前述の気液相関で示されるように、蒸気温度が一定であればその組成も一定である。したがって、通常は蒸気温度が一定になったところを捕集し、それを本留(ほんりゅう)と呼ぶ。見方を変えると、初めのほう(初留)と、終わりのほう(後留)は蒸気温度が一定でなく、組成が変動し、結果として副成分が多く含まれる。初留と本留とを分取するためには二又アダプターなどを使用する。 蒸留酒の製造において、初留分は初垂れ(はつだれ、はなたれ、英: head)、中留分は本垂れ(ほんだれ、英: heart)、後留分は末垂れ(すえだれ、英: tail)と呼ばれる。初留分には低沸点の香気成分がより多く含まれ、エタノールも高濃度で分離されるため、芳醇さに富み、初留分のみを使った蒸留酒の銘柄も作られている。 脱水を目的とする蒸留では、ベンゾフェノンが指示薬として使用されることがある。
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