発音原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 15:55 UTC 版)
オカリナの音は、歌口から吹き込んだ息の束(エアビーム)がエッジに当たることによって発生するのであるが、一般に楽器が十分な大きさの音を出すためには、振動源(励振系)だけでなく共振系(共鳴系)が重要な役割を担っている。 オカリナも振動源に関しては、同じくエアリード楽器であるリコーダーやフルートと特に変わるところはなく、大きくわけてふたつの説が存在する。ひとつ目の説は、エッジに当たった空気が楽器の内部に入ると内圧がわずかに上昇し、それによってエアビームが押し戻されると内圧が低下して、再びエアビームが引き込まれるという反復現象が発生して振動源になるとするもの。ふたつ目の説は、エッジに当たった空気がカルマン渦を生じ、これがエッジトーン(強風のときに電線が鳴るのと同じ現象)を発生させて振動源となるというものである。 このようにして発生した振動に対して、リコーダーやフルートの場合は管の内部にある空気の柱(気柱)が共振して音が出るのであるが、オカリナの場合は大きな空洞内部の空気が共振して発音する。この点でオカリナの共振系は、リコーダーよりもギターやヴァイオリンに近い。大きな空洞に速い息を吹き込んでもエネルギーが分散してしまうので、細い管状の管楽器に比べて十分な振幅を持った倍音が発生しにくい。このため、指穴の数とその開口部の面積がそのまま音域の広さを決定することとなり、倍音を利用して高音域を得る一般的な管楽器と比べて音域が狭い。ただし、空洞の形状などの条件によっては音域を拡張できるレベルの振幅を持った倍音が出ることもある。 オカリナの音色は、素材の他に空洞や歌口の形状など様々の因子に多少は影響されるが、倍音に乏しいため、他の多くの楽器に比べると純音に近い。音高は、リコーダーやフルートの場合、エッジから指穴までの距離によってほぼ定まるのに対し、オカリナの場合はヘルムホルツ共鳴器の持つ特性から、内部の体積に対する開口部の大きさ(エッジ部の孔と、開いている指孔の面積の総和)によって決まり、指孔の位置にはほとんど影響されない。このため、オカリナは指穴の位置を比較的自由に配置することができる。 「楽器分類学」、「管楽器」、および「リコーダー」も参照
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