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郷土の明治以前「貴重資料」公開 10日から岡山県立図書館企画展

備中高松城の水攻めを描いた絵図(手前)などの「貴重資料」。企画展では郷土の記録を守る図書館の役割に光を当てる
備中高松城の水攻めを描いた絵図(手前)などの「貴重資料」。企画展では郷土の記録を守る図書館の役割に光を当てる
 岡山県立図書館(岡山市北区丸の内)は、郷土にまつわる明治期以前の「貴重資料」をテーマにした初の企画展を10~13日に開く。備中高松城の水攻めや桃太郎伝説といった岡山の重要な歴史を扱い、戦禍を免れるなどした未公開の所蔵品を展示。郷土の記録を守り、次世代に伝える公立図書館の役割に光を当てる。

 県立図書館は戦中、岡山市北区蕃山町にあり、1945年の岡山空襲で全焼したが、一部の所蔵品は疎開させていたため焼失を逃れた。現在も郷土に関する古典籍や古絵図、和装本といった貴重資料を多数所蔵し、温度や湿度を一定に保つことができる「貴重書庫」で厳重に保管。今回は初公開の4点を含む計5点を2階郷土資料コーナーに陳列する。

 地理学者・古川古松軒(こしょうけん)(1726~1807年)=総社市出身=が備中高松城の水攻めを題材に、羽柴軍と毛利軍の戦陣を記した絵図がその一つ。「水攻めを描いた絵図の中でも作者や制作年が明確な作品は限られており、歴史的価値が高い」(同図書館)という。

 桃太郎伝説ゆかりの吉備津神社(岡山市)の由来をまとめた書物「備中国大吉備津宮略記」も疎開によって残された資料で、日本遺産「桃太郎伝説」の構成文化財に指定されている。この他、版画家・川瀬巴水(はすい)(1883~1957年)が、岡山市街地が水浸しになった室戸台風(34年)の発生前に訪問した後楽園を描いた作品などを並べる。

 展示では図書館の焼け跡から見つかったとされる炭化した図書を公開し、空襲の惨禍を伝える。県立図書館の佐藤賢二・郷土資料班長は「郷土の歴史を後世に伝えようと記録した人やその資料を守り抜いた人たちの思いを感じ取ってほしい」と話している。

 12日午後2時からは佐藤さんと県立博物館の内池英樹副館長による展示解説がある。先着80人で申し込み不要。問い合わせは県立図書館(086―224―1308、9日は休館)。

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