新規就農者の経営力向上を図るセミナーが27日、白石町総合センターで開かれた。野菜類の有機栽培などを手がける「ふしちゃん」の伏田直弘代表(46)が講演。10年目で年商1億5千万円超を達成した経緯に触れ、経営者の視点で利益を上げる営農のポイントを紹介した。
伏田代表は大学卒業後に飲食や金融関係の仕事を経て36歳の時、出身地ではない茨城県つくば市で営農を始めた。「生産者ではなく経営者」がポリシーで、「持続可能な農業は利益を出し続けること」と稼ぐ営農が重要だと強調した。
首都圏では有機栽培の農産物の需要が増え、高値で取引されている。「除草剤が使えないことなどから難しかった安定供給を実現したことで、販路拡大につながった」とし、生産者の少ない有機イチゴも手がけ、利益を上げてきたという。
農業の資金調達コストは他産業よりも低いとし、調達の順番は助成金や補助金、借り入れ、自己資金の順が望ましいと説明した。
トークセッションでは会場からの質問にも答えた。就農初期段階の労働力確保については「地元の人と仲良くなるために、地元から雇う方がいい」と助言、幹部候補は最初からその意図を伝え、働き方やキャリアのギャップを生まないことが大切とした。
セミナーは県、日本政策金融公庫佐賀支店が主催。新規就農者を含む農業者や関係団体から約60人が参加した。(古賀真理子)