J3大宮アルディージャはホームで福島ユナイテッドFCに競り勝ち、1年でのJ2復帰を決めた。
J1ジュビロ磐田から今季期限付きで加入したFW杉本健勇(31)は、ベンチで歓喜の瞬間を迎えた。先発出場すると、後半28分までプレー。前線で起点になり、チームの勝利に貢献した。「ただの通過点なので、個人的に思うことは特にないですけど、ファン、サポーターの人は早く決めてほしいと思っていたと思うんで、何よりこのNACKで決められたのが一番良かったなと思います」と思いを明かした。
杉本はJ1セレッソ大阪でプロキャリアをスタートさせ、17年にはシーズン22得点を記録し、日本代表にも選出されたスター選手。浦和レッズ、横浜F・マリノスなどを渡り歩き、今季からJ3に初挑戦した。「ここに来た理由は、1年で(J2に)あげるためだけと言ったらあれですけど、本当にそのミッションを達成するために僕は必要とされてきたと思っているので、そこは1つよかった」と役目は果たした。
今季は開幕から4試合は沈黙したが、第5節から5試合で5得点と爆発。中盤からはFWではなくシャドーの位置に入って役割が変わりながら、ここまで9ゴールを記録している。
強い覚悟を持って大宮にやってきた。初めて戦うJ3。加入当初を苦笑いでこう振り返る。
「最初は全然ダメでした。チームとしてもそこは監督が締める部分はありましたけど、厳しさであったり、求めるとか要求するところっていうのは、今と比べてもやっぱり全然少なかった」
自身の経験をチームに還元した。仲間であるからこそ、練習から厳しい要求を続けた。個人としても、チームとしても上に行くには必要なことだった。「ぶつかることとかもあったんですけど、それって俺からしたらやっぱすごく大事なこと。そうやって絆ができていったり、チームってできてくる」。チームをよくするために、意識的に自身が発信した。合わないことがあれば、野放しにすることなく、要求し合う空気感を育んだ。
基準作りは自分のためでもあった。「自分が言ったら、自分はそいつよりもやらないといけない状況なので、自分に発破をかけるつもりもあった」。杉本に引っ張られ、自然と強い組織ができあがってきた。
チームは圧倒的な強さを示してJ3を独走。杉本も「1人1人の意識とか責任感は非常に強くなってきた」と手応えを語る。もう1つの目標であるJ3優勝も目の前だ。【佐藤成】