メタバース(インターネット上の仮想空間)で再現された首里劇場(1950年開館、2023年解体)で、シンガー・ソングライターむぎ(猫)のライブ「むぎ(猫)がメタバースにやってくる!にゃー!にゃー!にゃー!」が12月8日に開かれた。主催したのは、撮影や配信のスタジオを運営するG-shelter(浦添市)。同社はライブハウスとしての業態が前身で、実際に現実世界でも活動する生身のミュージシャンがメタバース空間でライブをするのは県内では先駆的な取り組みだ。この日のイベントには延べ500人以上が集まり、G-shelterオーナーの黒澤佳朗さんは「これからはメタバースが一つのエンターテインメントの主戦場を担っていく確信があります」と、メタバース黎明(れいめい)期から広がる近い将来に期待を寄せている。
メタバースとは
インターネットを利用した3次元の仮想空間やサービスのこと。生身の人間がその場に行かなくても臨場感が得られ、新たな体験やビジネスの創出が進みつつある。
自らのアバター(分身となるキャラクター)を操作して、現実世界ではもう見ることのできない首里劇場の外も中も自由に動き回ることができる。その歴史ある舞台上で、むぎ(猫)が身振りを交えて歌ったり、木琴を奏でたりしている。うちわなどのファングッズを手にした観客が、首里劇場を埋め尽くしていた。入り口では、2022年4月に他界した金城政則館長の優しげな姿が客を出迎える
メタバース空間の首里劇場は、デザイナーの平井晋さんによってかねてから設置されていたもの。このイベントでは、現実世界のG-shelterで演奏している音声や動きを、メタバース上の首里劇場にまるで転送しているかのような感覚で届けている。
この“場所”にいるそれぞれの客のアバターは言わずもがな、一人一人の人間が操作しており、それぞれの視点からそれぞれがコミュニケーションを交わしている。コロナ禍を経て爆発的に普及した「ライブ配信」と「メタバース空間でのライブ」の最大の違いは...