長野県中野市で女性2人が刺され、警察官2人が猟銃で撃たれて死亡した事件。警察官1人を殺害した疑いで青木政憲容疑者(31)が逮捕・送検されている。事件当日、何が起きていたのか。そして、なぜ被害者が狙われたのか、緊迫の12時間をまとめた。
この記事の画像(11枚)約10分間で4人が襲われたか
まず、容疑者の自宅近くで竹内靖子さんが襲われたとみられる。
竹内さんと一緒にいた村上さんは逃げたが、約150メートル先の畑でナイフで刺されたという。
この時に110番通報があり、駆け付けた警察官・池内卓夫さんと玉井良樹さんも猟銃で撃たれた。
玉井さんは、さらにナイフで刺されている。
110番通報があってから警察官の池内さんが撃たれるまでは約10分。その10分で容疑者は次々に襲ったとみられている。
「撃つぞ」という感じで笑っていた
事件は静かな田園地帯で起きた。25日、午後4時ごろのこと。
事件を目撃した人:
畑作業をしていたんです。そしたら「誰か助けて」と女の人が走ってくるのが見えた。男が追いかけてくるのを見て、これはやばいかなと思って「おじさん助けてください」と言って、そんなことしている間に男に追いつかれて、3メートルくらい手前で捕まって。左胸にサバイバルナイフみたいなでかいナイフで刺した。「殺したいから殺してやった」って
その後、ナイフを収めて立ち去ったという青木容疑者。
男性はすぐに110番通報した。
心肺蘇生にあたった別の男性は、「容疑者は“撃つぞ撃つぞ”という感じで笑っていた」と当時の状況を話した。
110番通報を受けパトカーが急行。
運転席に池内卓夫さん、助手席に玉井良樹さんが乗っていた。
そこに、猟銃を持った青木容疑者が現れ、運転席に銃口を向けたという。
心肺蘇生した男性:
バーンって音だけ(聞こえた)。見てない、逃げるのに必死で。犯人はそのまま自宅の方へ向かって行ったので。(パトカーの警察官は)どんな状況でいるのかなと思って近寄った。運転席側の警察官はうなだれていた、頭だけ動いていた
2人とも窓越しに撃たれたとみられている。容疑者は「射殺されると思って先に撃った」などと話しているという。
「“ぼっち”ののしられたと思った」
4人を襲った容疑者。女性2人はなぜ狙われたのかー。
事件前日、現場から400メートルほどにある防犯カメラに竹内靖子さんと村上幸枝さんが散歩している姿が映っていた。
2人はほぼ毎日一緒に散歩し、犯行時間帯に容疑者の自宅近くを通っていた。
現場近くの住民は、「2人はだいたい夕方4時すぎ、話しながら笑って通っていく」と話す。
容疑者は散歩中の2人から「ひとりぼっちだとののしられたと思っていた」などと供述。警察は一方的に恨みを募らせ、2人を待ち伏せして襲った可能性もあるとみている。
父親は頭抱えしゃがみこむ
青木容疑者は4人を襲った後、自宅に戻り立てこもった。
警察の見張り用に部屋を提供した男性の話を聞くことができた。
部屋を提供した男性:
窓越しによく見えるので(容疑者は)見ていたら出たり入ったりしていた。冷静な顔して見ていた。怒りの顔じゃなく普通の顔。(銃は?)たぶん持っていたかな
通報者の男性が、現場近くまで駆け付けた容疑者の父親と会話していた。
通報した男性:
(父親に容疑者は)鉄砲持っている?と聞いたら「所持している」と。「(犯人は)ほぼ息子だぞ」と言ったら頭抱えて、しゃがみこんじゃいました
父親が「自首」するよう説得
自宅の中には同居していた母親とおばがいて、母親は自首するよう説得に当たった。
しかし…
(記者リポート)
立てこもり現場から銃声のような音が今、聞こえました
午後8時前後に2回の発砲音…。
容疑者が発砲したとみられ、自殺しようとした可能性があるという。
母親は説得しながら午後8時半すぎに隙を見て家を出た。猟銃1丁を持ち出し隠したという。
おばも午前0時すぎに家を出た。
保護される翌午前4時半ごろ、容疑者から電話を受けた父親が「自首するよう」説得。
すると、自宅1階の戸が開き、人が歩いていく様子が…。
容疑者は両手を挙げて外に出てきたところ確保された。
そして―。
(記者リポート)
男を乗せたとみられる車が現場付近から出てきました
事件発生から12時間後、青木容疑者は確保されその後、警察官1人を殺害した疑いで逮捕された。
(長野放送)