ディスカウントの「トライアル」ゴルフ場などの買収を活発化

ディスカウントストアのトライアルホールディングス<141A>が、M&Aを活発化させている。

2023年に食品スーパー運営の佐藤長から一部事業を譲り受けたのをはじめ、2024年には東急不動産(東京都渋⾕区)からゴルフ場運営会社2社を買収した。

佐藤長から譲り受けた事業は、2024年6月期に2ケタ近い増収となった一因となっており、ゴルフ場事業については、この買収を機に事業を本格化し、今後九州以外のエリアへの進出を目指す計画だ。

同社は2003年にフランチャイズ店舗の運営会社であるナカヤを子会社化したのを手始めに、これまでに10件近いM&Aを実施し、業容を拡大してきた経緯がある。

今後の企業成長も、M&Aが大きくかかわってきそうだ。

九州から全国に展開

佐藤⻑は⻘森県に拠点を置き、⾷品スーパーマーケットを運営していた企業で、同社から18店舗と、⾷品加⼯卸業を手がけていた関連会社の⻘森⾷研の事業を譲り受けた。

これにより2024年6月期にトライアルが新規出店した41店舗中、半分近くが佐藤長の店舗となり、トライアルの同期の増収分のうち、佐藤⻑から譲り受けた店舗分が6.9 %を占めた。

トライアルは、これまでもスーパーや飲食関連のM&Aを行っており、2009年に北海道で8店舗を展開していたディスカウント食品スーパーのカウボーイを子会社化し、2010年に吸収合併したほか、2016年には食の強化を目的に、惣菜販売を手がける、こはく本舗を展開する明治屋(福岡市)を傘下に収めており、今後もこの分野でのM&Aの可能性はありそうだ。

一方、ゴルフ事業は2024年に、東急不動産からゴルフ場運営のTGR大分(現ティージーアール大分、大分県)と、同TGR阿蘇(現ティージーアール阿蘇、熊本県)の2社を買収した。

トライアルは旅館やゴルフ場の運営を行うリゾート事業の規模拡⼤のため、今後もゴルフ場の買収を進める計画で、九州から全国に展開していった小売業と同様に、ゴルフ場事業でも九州から全国に展開するとしている。

リゾート事業については2020年に、リゾート事業の不動産を保有するエヌ・ジー・ティー不動産管理(現サンリアルエステート)を子会社化するとともに、リゾート事業の統括を目的としてトライアルリアルエステートを設立。

さらに2022年には、子会社のトライアルリアルエステートが、サンリゾート(現トライアルゴルフ&リゾート)を子会社化し、ゴルフや旅館の事業拡大のための体制を整えている。

現在は九州で三つのゴルフ場(WAKAMIYAコース、OITAコース、ASOコース)と、四つの旅館(宮若虎の湯、古民家煉り、大分九重久織亭、大分九重虎の湯)を運営しており、次の進出エリアがどこになるのか。関心が集まる。

ディスカウントの「トライアル」ゴルフ場などの買収を活発化
トライアルの沿革と主なM&A

二けたの増収営業増益

トライアルの業績は好調だ。

2025年6月期は売上高8088億6600万円(前年度比12.7%増)、営業利益229億8600万円(同20.0%増)と二けた増収営業増益を見込む。

前年の2024年6月期の9.9%の増収、37.2%の営業増益に続く高い伸びとなる。

エネルギーコストや原材料価格の高騰による物価高の中、消費の低迷や、業種や業態を超えた販売競争の激化などが見込まれるものの、生活必需品の節約志向が高まっていることなどが好調の背景にある。

小売り、旅館、ゴルフ場のいずれでも、M&Aを活発化するのに、業績が支障となることはなさそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一

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