適切な価格転嫁に向けた契約変更協議の円滑化ルールなど13日に施行した改正建設業法の一部規定を解説する国土交通省の説明会が19日の東京会場から始まった=写真。建設業者と発注者にそれぞれ対象を分けて行われ、特に発注者のうち民間企業の参加者からは、受注者と契約書を取り交わす際の適切な対応などについて多くの質問が飛んだ。国交省の担当者は「発注者の安定的な事業継続には取引適正化が不可欠。受発注者間で対等に、互いに納得の上で協議してほしい」と訴えた。
説明会ではICT活用による監理技術者などの専任義務の合理化を含めた改正法の13日施行分を中心に、注文者に求められる対応などを具体例を交え解説。会場とオンラインで建設業者と発注者それぞれ1000人が参加し、参加者からの質問に国交省が回答した。
改正法では価格転嫁・工期変更協議の円滑化ルールとして請負代金や工期の「変更方法」を契約書の法定記載事項として明確化。この契約上の義務とは別に、契約前の受注者による「恐れ(リスク)情報」の通知と、リスク発現時の注文者による誠実な協議対応を法令上新たに必要な行為と位置付けた。
契約書に記載すべき変更方法について、国交省は受注者が契約変更を請求でき、変更額などを協議して定めることなどを最低限定める必要があると回答。変更対象とする費用項目を限定したり変更額の上限を設けたりすることは可能かどうかは、設定上限が請負額に極めて近いケースなど「実質的に契約変更を認めない内容になっている場合は違反の恐れがある」とした。
公共工事のスライド条項に請負額の1・5%などの受注者負担があることから、これに準じた対応が民間工事でも求められるかどうか問う声もあった。国交省はスライド条項を定める建設工事標準請負契約約款の改定議論を年明けに本格化すると説明した上で、「民間契約の当事者間で(負担割合などを)協議の上で決めることは業法上問題にならない」とした。
工期が長い工事で当初想定したリスクを超える事象が工期途中に起きた場合の対応については、事前通知されていないことが協議を拒む理由にはならないとの考えから契約書の「変更方法」を取っ掛かりにした協議への対応が必要と強調した。
説明会は東京以外に大阪、名古屋、札幌、福岡の4都市で順次開く。