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2025年はロシア経済にとって苦難の年になる…複数のエコノミストが予測

2024年12月初旬の投資フォーラムで、ウラジミール・プーチン大統領はロシアのインフレは「比較的高いレベル」にあると話している。

2024年12月初旬の投資フォーラムで、ウラジミール・プーチン大統領はロシアのインフレは「比較的高いレベル」にあると話している。

Sergei Bobylev, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP

  • 2025年、ロシア経済は大きな圧力を受けるだろうとエコノミストたちはBusiness Insiderに語っている。
  • 高インフレ、経済成長の鈍化、エネルギー価格、経済制裁はロシアの軍事力に悪影響を与える可能性がある。
  • ある専門家は、この成長の鈍化は1980年代初頭のソ連に似ているとBusiness Insiderに語っている。

2025年はロシア経済にとって苦難の年になる可能性が高い。

2022年2月にウクライナへの本格的な侵攻を開始して以来、ロシアは戦争を優先するために経済を再構築し、輸出禁止の措置を課し、政府系ファンド、ナショナル・ウェルス・ファンド(National Wealth Fund)を活用して、非西側諸国との貿易を強化してきた。

しかし前例のない防衛費の支出、労働力不足、そして西側諸国による制裁は代償を伴うもので、国家としての能力の限界に達しつつあると考える者もいる。

ロシア経済が崩壊することはないとエコノミストたちは予測するものの、ウクライナでの戦闘を続ける場合には、2025年は厳しい年になるだろうとBusiness Insiderに話している。

インフレの継続

「ロシアはその経済を内側からむしばむプロセスを開始した」と、オハイオ州にあるケース・ウェスタン・リザーブ大学のビジネススクールであるウェザーヘッド・スクール・オブ・マネジメント(Weatherhead School of Management)の経済学准教授、ロマン・シェレメタ(Roman Sheremeta)はBusiness Insiderに話している。

彼によると、戦争が続いた場合、「すでに疲弊しているロシアの予算に大きな負担をかけることになる」という。

ロシアはウクライナとの戦争を続けるために防衛費を増加させており、2022年の590億ドル(当時の約7兆6700億円)から、2023年には1090億ドル(当時の約14兆7150億円)、2025年には1268億ドル(約19兆9500億円)を計上する計画だ。これによって同国の防衛費は連邦予算の32.5%を占め、2024年の28.3%から増加することとなる。

近年急増する防衛費は、ロシア経済を支えてきた一方で、インフレの上昇にもつながっており、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、2025年にはインフレ率が9.5%に達する可能性があると述べている。

これを抑制するため、同国の中央銀行は2024年10月に主要金利を19%から21%に引き上げ、過去最高のものとなった。この金利の引き上げは、企業の利益率に影響を与えている。

ロシアの中央銀行は2024年12月にも金利を再度引き上げると予想されていたが、実際には見送られている。ただし、2025年には金利を引き上げる必要が出てくるかもしれない。

「主な問題は、インフレがどれほど高くなるか、そしてその鈍化がどのように現れるかである」と、金融アナリストであり、欧州政策分析センター(Center for European Policy Analysis)の非常勤上級研究員、アレクサンドル・コリアンドル(Alexander Kolyandr)はBusiness Insiderに話している。

プーチン大統領は、インフレが「比較的高い水準にある」と認めている。2024年12月初め、モスクワで開かれた投資フォーラムで、彼は政府と中央銀行に対してインフレの抑制を促している。

ロシアのシンクタンクであるTsMAKPは、ロシアがインフレを抑制できないことが、低成長かつ高インフレの「スタグフレーション」へと国を追い込んでいると2024年11月に警告している。「スタグフレーション」は景気後退よりも脱却が難しいシナリオだ。

「全体的な傾向は非常に厳しい」とコリヤンドルは話している。

「1980年代初頭のソビエト連邦のように、経済全体が停滞している状態だと言える」

ソビエト連邦は1991年に崩壊している。

経済成長の鈍化

ロシアの2025年の経済成長は予想を下回ると見込まれている。国際通貨基金(IMF)は、2024年10月の世界経済見通し(World Economic Outlook:WEO)で、ロシアのGDP(国内総生産)成長率予測を1.5%から1.3%に引き下げた。

「全体的な成長は非常に遅くなるだろう」と、フィンランド銀行新興経済研究所(Bank of Finland Institute for Emerging Economies)の研究責任者であるイッカ・コルホネン(Iikka Korhonen)はBusiness Insiderに話す。

だが彼は、「ロシア政府が軍事生産に必要な資源を確保するだろう」と話している。

「しかし、多くのセクターはおそらく縮小するだろう」

ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)によると、2024年11月にロシアの大手銀行ガスプロムバンク(Gazprombank)や他の金融機関へ実行されたアメリカの制裁によってルーブルが急落した。また企業は将来の成長を目指した事業拡大や投資の計画を大きく縮小したり中止している。

報道によると、ロシアでは200以上のショッピングセンターが債務負担の増加によって倒産の危機に直面しており、ロシアの貨物輸送業者のほぼ3分の1が2025年に倒産の怖れがあるという。

ロシア最大の携帯電話事業者であるMTSも、2024年第3四半期の純利益がほぼ90%減少した原因として、利息支払いに関連するコストを挙げている。

「エリートたちは生き残りをかけて戦っており、プーチンには忠実であり続けているものの、彼らの不満は増している」と、元ロシア連邦中央銀行(Central Bank of the Russian Federation)の職員であり、現在はドイツ・ベルリンにある非政府組織、カーネギー・ロシア・ユーラシア・センター(Carnegie Russia Eurasia Center)のフェローであるアレクサンドラ・プロコペンコ(Alexandra Prokopenko)はウォール・ストリート・ジャーナルに話している。

実際、最近数カ月間にロシアのCEOビジネスリーダーたちは、金利引き上げや西側の制裁に対する非難を強めている。

2024年10月末、防衛関連の事業のコングロマリットであるロステ(Roste)のCEOセルゲイ・チェメゾフ(Sergei Chemezov)は、高金利が企業を利益を上げるのに苦しませているとロシアの上院議員たちに語った。

石油と天然ガスの価格

ロシアの石油と天然ガスからの収益は近年変動しており、2023年には減少したが、2025年にはその収益が国家予算の総収入の約27%を占めるとロシアは予測している。

「ロシアが現在の価格で現在の量の原油を売り続ける限り、2025年まで戦争のための十分な税収を確保できるだろう」とフィンランド銀行のコルホネンは言う。

2024年12月初め、ロシアの国営石油企業のロスネフチ(Rosneft)はインドに原油を供給するため、10年間で130億ドル(約2兆円)規模の契約を結んだと、この件に詳しい3人の関係者の話を引用してロイター(Reuters)は報じている

しかし、欧州政策分析センターのコリアンデルは、ロシアの収益見通しは「過度に楽観的だ」と考え、「世界の石油価格は政府が予想しているよりも低くなる可能性がある」と話している。

トレーダーたちは、需要の低迷OPECプラス以外の国々の生産、クリーンエネルギーへのシフトなどが影響し、2024年には予想されている1バレル80ドル(約1万2000円)から、65ドル(約1万円)から71ドル(約1万1000円)の間に2025年は下落すると予想している。

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