【8月25日 CNS】「私はうつ病です。死にたいのです。理由なんてありません。私がいなくなっても気にしないでください。バイバイ」――2012年、南京の若い女性が自殺する前に、その気持ちを微博(ウェイボー、Weibo)に書き残している。中国では毎年自殺する25万人のうち、半分以上がうつ病患者で、平均して20秒に1人、うつ病患者が自殺をしている。

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「疲れた」「死にたい」「私は必要とされていない」など…。ウェイボーの自殺系サイトに残されたメッセージは153万件を超える。夜の帳がおりて、あたりが静まると、自殺願望者らはここにやって来て、心のうちの悲しみを打ち明けるのだ。

 オランダのアムステルダム自由大学(Vrije Universiteit Amsterdam)の黄智生(Huang Zhisheng)終身教授は、人工知能(AI)を研究して30年以上がたった。この数年は、AIを使って自殺願望のうつ病患者を探す試みに取り組んできた。「自殺救援団」を設立し、今年の8月時点で1436人の自殺願望者に対して「愛の情報」を発信、662人の自殺を阻止することに成功した。

 2018年3月、黄教授はインターネット上で自殺系サイトに関する報道に触れ、それらのサイトの中には大量のうつ病患者が隠れていることを知った。夜の闇の中でもがいているうつ病患者に光を当てるため、黄教授は「自殺阻止ロボット」を開発。SNSの中に隠れている大型の自殺系サイトをウオッチし、自動的に顕著な自殺願望のある対象者を探し当てる。1号から始まったロボットは、現在は4号にバージョンアップし、データの探索正解率は82%まで改善されている。

 自殺リスクを判定するため、レベル0から10までの基準を設定し、レベルが高ければ高いほど自殺のリスクも高いとした。黄教授は「レベル6以上の場合、ロボットは自動的に警報を発し、人間はこれを受けて介入を行うのです」と話している。

 毎晩10時になると、ロボットは作成した警報を送ってくる。それを確認し、「救援者」の手配をする黄教授は「1日に発見する自殺願望者は10人前後ですが、実際に救えるのは2から3人だけ。人手が足りないので救いきれない」と語った。

「ロボットは自殺したい人を探し出すことはするが、見つけた後に、どうやったら自殺の考えを捨てさせるのかについては正解を与えてくれない。患者は長期間にわたる見守りと、家族からの温かい関心と支えが必要だ。そして、患者の心の中の痛みを聞いてあげることが求められている」 (c)CNS-科技日報/JCM/AFPBB News