他社の単話版をちびちび読んでたんですが書き下ろしが読みたくてこちらで単行本を購入。切なくて温かくて、何度も読みたくなるお話です。言葉による心情の説明が少なめだからこそ、キャラの表情からいろいろ想像して悶えることができました。
うっかり告白
しちゃったマキ。逃げてしまった渋川。まったく悪意は無かった(むしろ子どもたちに愛情を持って接してた)のに「将来は幸せな家庭を」と、彼らに「普通」の呪いをかけてしまった周囲の大人。あるあるだな…と胸を痛めながら読みました。性格悪い人は全然出てこないです。登場人物みんな善人です。それでもうまくいかない事もある。
最後、ちゃんと二人が幸せそうで良かったです。
好きな場面やセリフも沢山あって書ききれません。たとえばタチアオイの花が上まで咲いたら夏だ、と通学路でマキが渋川に教える場面があるんですが、あれもある種の呪いだったなあと印象に残っています。別れる男には花の名前を教えなさい、花は毎年咲きますから…と昔の偉い人が言ってました。マキは深く考えてなかったんだろうけど渋川は離れている間タチアオイを見るたびにマキを思い出してたんじゃないかなと。
それに神社のシーン。作中で明言されなかったけど渋川くん、何度も神社に通ってますよね。思い出すたびに後悔して、俺も、の一言を返せなかったことをずっと引きずってたんじゃないですか。マキとの思い出の店で働き始めた時どんなことを考えてたんですか。もう妄想が止まりません。
攻めザマァ系と言えなくもない、けど結末はとても温かい話です。しいて言うならくっついた後がもう少し読みたかったな。番外編お待ちしてます!
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