幼い感じがして入り込みづらいストーリーだった。
HQは記憶喪失物が多いが、登場人物の訳ありシチュエイションの霧が晴れて行く様子に、恐ろしいことでも待ち構えているような、見ない方がいいのではないか、幸せになれない未来に繋がってしまうかもしれ
ない、そんな気分で頁をめくる手が遅くなった。
山本先生はもっとチャーミングな絵を描かれていたと思う。特に男性に魅力があったような。。元々女性はササッと簡単に走らせたように描かれていて、それが本作品でより目についてしまった。もっとじっくり人物を造って欲しいと思う。
本作、かなり急いで描かれたのか繊細さが遠ざかり、肝心なメイン二人なのにキャラとしての風格がどうも足りないように見える。先生の手掛けるコミカライズは人物のビジュアルでファン(私のように)も多いはずなので、ここはもうひとつ期待したいのだ。
若いときに見る目がなくて、異性選択眼がつく頃には失敗しちゃった後、というのはあることだと思う。
居心地よくしてくれる家で幸せを見つけられて良かったと思う。家の人達の温かい雰囲気が、不安な記憶喪失のヒロインをどれだけ癒したか、ほのぼの感はちゃんとコマ間に漂っている。
しかし、感情のやり取りが余りにアッサリしている感じで、誰が誰を、も大切な筋書きだが、いかに彼女を、また如何に彼を、という空気が醸し出されず、殆どロマンス気分に酔えなかった。
断片断片でふと甦る記憶も、真相は比較的まとめて終盤に持って行っていて、途中のもどかしさも二人の甘さが支えきれてなかった。サムが引き過ぎなのか? 本当に長い間、彼は苦しかったろうな、と、主人公は彼、という話に思えた。突如何度か襲うフラッシュバックの記憶回復の小出しが巧みな話。
タイトルに「契約結婚」を付けた意味がわからない。
原題「忘れられた夫」の方が余程表現してる。
追記1:原作を試し読みしてみて、サム(サマンサ)とギャリックの関係は確かに契約結婚といえると、わかった。漫画からは感じ取れなかったが。HQは翻訳先行でコミックが後発のために、翻訳サイドで用いられたものと同じになる。センスの悪いタイトルに驚かされることがあるが、原作から脚色を進めてしまう場合は、きっと足枷なんだろうなぁと感じる。
追記2:三回読んだ今、ノッチupで4星へ変更する。
56頁後ろ姿、見直し買いだ。
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